かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:中央大学音楽研究会混声合唱団第55回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成30年12月21日に聴きに行きました、中央大学音楽研究会混声合唱団の第55回定期演奏会を取り上げます。

え、前日オケ行ってますよねって言う、ア・ナ・タ。鋭い!そのとおりでございます。前日川崎へ中大オケの第80回記念演奏会を聴きに行ったその翌日に、今度は混声合唱団の定演に行った、というわけなのです。

正直、合唱団だけにしようかと最初は迷ったのです。川崎は今遠いですしね・・・・・しかも、混声合唱団は今回、合唱曲の王道とも言えるようなプログラムを組んだので・・・・・しかも、ホールは家からも近い府中の森芸術劇場ウィーン・ホール。

今年は、府中の森のコンサートによく行くようにしています。何分近いですし、その分体も楽なので・・・・・そうなると、オケがミューザでしかも平日というのは、たとえマーラーだったといえども、最初はどうしようかって悩んだのです。

で、じゃあ、混声合唱団はものすごく有名な作曲家の作品なんですよね!って思いますよね?まあ、確かに合唱が好きな人達なら有名ですが・・・・・メインがラターですから。

え、ラターって、誰?っていう、ア・ナ・タ。このブログでも取り上げているんですよ、ラターのレクイエム。それが今回の中大混声の定演のメインだったから、行くことを選択したのです。

今月のお買いもの:ラター レクイエム、宗教音楽集
https://yaplog.jp/yk6974/archive/1484

ラターがいわゆるイギリスやアメリカといった、アングロ・サクソンの国で好まれているゆえに我が国では不遇な扱いがされている感がありますが、優れた作品を数多く書いています。そのラターのレクイエムをメインに持ってくるというのも、今どきの学生達とも言えるかと思います。しかし、今回の演奏が良かったのは、ラターだけではなく、後期ロマン派の宗教作品も取り上げたという点です。サン=サーンスとリストの作品です。

サン=サーンスは時間的に間に合いませんでした。サン=サーンスは古典的な作品を書いているので、その意味では古典的なもの、ロマン派、そして現代と選曲をしたことになります。こういった選曲もいいと思います。

さて、演奏ですが、私はリストから聴きました。と言っても正確にはそのリストも間に合わず、ホワイエでモニター越しでしたが・・・・・リストはミサ・コラリス。これも以前このブログでも取り上げています。

今月のお買いもの:リスト 十字架への道程、ミサ・コラリス
https://yaplog.jp/yk6974/archive/1466

今、この2つのエントリで取り上げた演奏を聴きながら原稿を書いていますが、まずリストは、せっかくのノン・ビブラート歌唱がうまく行ってないなって思いました。テノールがぶら下がり気味なんですよね〜。力が入りすぎちゃってるんです。府中の森芸術劇場のウィーンホールなら、そこまで頑張らなくてもいいのになって思いました。以前、同じホールでは今年は室内管弦楽団の演奏を2つ聴いていますし、それよりもっと昔には、東京理科大学の合唱団がモーツァルトの「戴冠ミサ」を演奏したのも聴いています。

それらの演奏は決して頑張りすぎていません。勿論、少人数なので個々がその能力を精一杯ださないと行けないですが、小さなホールなら頑張りすぎなくても十分響くんです。私はその経験をやはりモーツァルトの戴冠ミサを演奏した時が横浜市青葉区民文化センターフィリアホールだったことで経験しました。

多分、フィリアとウィーンホールとでは収容人数がほとんど差がないはずです。それほど小さなホールなんです。ですから頑張りすぎる必要なまったくないのに、男声がひたすら頑張っているんですよねえ・・・・・

うーん、リストってネームヴァリューに負けてるなって思います。ヴィルトォーソだからといって、けれどもリストは必ずしも宗教作品でかのピアノ曲のような超絶技巧をひけらかすような作品をほとんど書いていないんです。ですからまったく負ける必要もないし、そもそもパワーゲームをする必要もないんですが、どこか女声を支えるんだ!と変に頑張っているように聴こえました。いえいえ、女声のほうがよほどしっかりしていたので、男性たち、その必要はありません、自分たちが如何に声を響かせるかだけを考えましょう〜

ところがです、後半のラターになると一転、柔らかく軽い発声なんですよねえ。それ、リストでやんないと・・・・・小さいホールを使っている意味がなくなってしまいます。多分、うまく息が吸えてないんだと思います。ラターは声を張り上げなくてもいいですから、楽なんだと思います。けれども本来は、ラターのようにフレーズが長く小さい音が多いほうが息を出すコントロールが難しいはずなんですけれど・・・・・

だからこそ、リストでは「頑張りすぎている」って判断したってわけです。下手すれば先輩たちが使ってきたオリンパスホール八王子だとか、杉並公会堂よりも小さいホールなんです、府中の森芸術劇場ウィーンホールって。今後、この演奏をいい経験にしてほしいなって思います。ラターが良かった分、本当に残念だなあって思います。

ラターはナクソスケンブリッジ・クレア・カレッジ聖歌隊よりも透明な演奏で、その上でアクセントもしっかりついていて、実に生命力あふれるすばらしい演奏でした。あれくらい力を抜いてリストもちょうどよかったんです。特に女声がすばらしい!ぶら下がり傾向があるソプラノも全く無いですし、アルトの表現力のすばらしさ!特にラターで顕著でしたが、本当にすばらしいです。ぜひ卒業後はコア・アプラウスに入ってあげてと思いました。

男声は、当日ソリストをされた、ソプラノの坂井女史の歌唱をよく覚えておいてください。あの力が適度に抜けた歌唱こそ、いいんです。あれで十分すぎるほどホールの端まで声が力強く塊で飛んでいるんです。多分坂井女史は自分の力の7割位しか発声していないと思います。それでも十分飛ぶんです。前日オケが演奏したミューザよりずっとウィーンホールのほうが歌いやすいはずですから(経験者は語る)。

指揮者が白石先生の急去後就任された飯坂氏により、選曲の幅が広がったように思います。ラターなどは最近は高校生でも演奏しますけれど、リストなどはまだまだ演奏されているとはいい難い中での選択は素晴らしかったです。次回も是非とも、思わず唸るプログラムを期待したいと思いますし、十分に合唱団には表現してほしいなって思います。訓練には、一度モーツァルトの戴冠ミサを演奏するほうがいいかもしれませんね〜





聴いてきたコンサート
中央大学音楽研究会混声合唱団第55回定期演奏会
カミーユ・サン=サーンス作曲
アヴェ・マリア
アヴェ・ヴェルム
フランツ・リスト作曲
ミサ・コラリス
ジョン・ラター作曲
レクイエム
坂井美登里(ソプラノ)
鎌田涼子(オルガン)
吉田瑳矩果(ハープ)
アレクテ室内管弦楽団アンサンブル
飯坂純指揮
中央大学音楽研究会混声合唱

平成30年12月21日、東京府中、府中の森芸術劇場ウィーンホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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