コンサート雑感、今回は平成28年5月7日に行ってきました、東京六大学混声合唱連盟第58回定期演奏会を取り上げます。
このコンサートに足を運ぶきっかけになりましたのは、実はfacebookでした。そこでつながっております方からお誘いを受けて、行くことにしました。
私は大学時代は合唱ではなく、ひたすら歴史と古美術に明け暮れる学生時代を過ごしましたが、かといって合唱が嫌いなわけではないですし、クラシック音楽も聴いていたことは、すでにこのブログでご紹介した通りです。
そんななか、幾つかの大学の合唱団が一緒に演奏会を開くこのイベントを紹介され、何となく合唱祭に似ていると思い、久しぶりに昔の雰囲気を楽しみたいと思い、行くことを決めたのでした。
URLがありますので、ご紹介しましょう。
東京六大学混声合唱連盟
http://konseirokuren.tokyo/
一応、参加大学は慶応、青山、東大、法政、早稲田、明治ですが、このうち東大(柏葉会)は他大学の学生のいるオープンサークルなので、実際はさらに多くの大学の学生が参加していることになります。
混声合唱は、現在同性合唱に比べ低く見られる傾向にあります。確かに、混成は男女のバランスが悪いところが多く、そのためかいい指導者が付かないという側面もあります。ですが参加各サークルは実に素晴らしい演奏を聴かせてくれたと思います。
先ずは、慶應義塾大学混声合唱団楽友会。ルネサンスと現代のアカペラ宗教作品を並べたステージは、まとまりがあり素晴らしかったです。指導されているのが栗山先生であるのがいいのでしょう。やはり男声が少ない割には頑張っていたのが印象的です。
2番目が青山学院大学グリーンハーモニー合唱団。すべてOBであるサザン・オールスターズの桑田佳祐氏の作品ばかりが並びましたが、編曲が合唱の素晴らしさを伝えるようになっているのに助けられたような気がしました。男声が少なすぎるのが問題でしょうか。でも、ハーモニーがそろっていたのはさすがです。指導者がしっかりしているせいなのでしょう。今後の可能性に期待したいなと思いました。男声さえ増えればという感じです。
3番目が東京大学柏葉会合唱団。今はやりのラインベルガ―が並んだステージは、素晴らしかったです。男女比はそれほど崩れていないんですが、男性だけが東大生だそうで、女声は他の大学、ともすれば音大生であることもあるそうで、負け気味であるのが気になりました。うーん、ここは女声を少なくしても・・・・・などと言ってしまえばフェミニストの方々から大バッシングが来そうなのでそこまでは言えませんが、もう少し女声に配慮があればなあって思いました。ただ、演奏から歌う事のよろこびがしっかりと伝わってくるので、様々な事情を抱えて参加しているのだろうなあと思うと、まあ仕方ないのかなと思いました。
ここで休憩の後、後半へ、4番目が今回お誘いいただいた方の卒業サークル、法政大学アカデミー合唱団。アカデミーと言えば社会人団体で東京と札幌が有名ですが、法政大学にもあったと知りました。��田三郎の「心の四季」を並べたステージでしたが、素晴らしかったです。ここも男女比でいえば女性が多いのですが、それを全く感じさせないステージで、良くまとまっていました。
この点、すごく大事です。ともすれば、女声は数に任せて男声を圧倒してしまうことがあります。でも、混声合唱はあくまでも男声と女声どちらの音も存在して初めて成立する芸術であるということを忘れないでほしいのです。その点を、学生指揮でありながらも法政はしっかりと認識して、アンサンブルしてハーモニーを作りあげていたのが本当に素晴らしかったです。私は法政のOBではなく中大ですが、是非ともコンサートに足を運びたいと思った演奏でした。学生指揮の戸村君に脱帽です。
5番目が早稲田大学混声合唱団。総勢100人以上はいるそのステージは力強くしなやかでした。バッハの名作コラール「主にむかって新しい歌を歌え」BWV225は、以前このブログでもスウェーデン放送合唱団の演奏を取り上げた名作ですが、その名作を実に感動的な演奏を聴かせてくれたのは素晴らしい!スウェーデン放送合唱団は数に劣るのでアンサンブルの完璧さで勝負しており、それはとても美しいものでしたが、早稲田は数が全く嫌味にならず、生命力あふれる、神への賛美を聴かせてくれました。指導者が東京混声合唱団の八尋氏であれば納得ではありますが、それでも学生できちんと喜びの賛歌が歌えるのは素晴らしいことです。
6番目が明治大学混声合唱団。黒人霊歌は明るいですが、そこに様々な意味を持ちます。学生の底抜けに明るい演奏は、かつて奴隷であった黒人の、生命力を表現するに十分でした。指導されていらっしゃる松下先生に頭が下がります。
合同合唱はラターの「グローリア」。1974年作曲ですが、20世紀音楽らしい不協和音が意味する、神への畏れと喜びが存分に表現されていたと思います。20世紀音楽を奏でる時は、単に旋律に身をまかせるのではなく、「この和声にはどんな意味があるのだろう」と常に問うことが大切なのですが、特にラターのグローリアの場合、重要になると思いますがそれがほぼ完ぺきというべきものでした。
アンコールは、木下牧子作曲「鴎」。歌詞が持つ強いメッセージが、六大学の学生によって歌われるのは、正直湧き上るものを押さえることが難しかったです。隣のお誘いくださった方は体を揺らして泣いていらしたのですが、それは当然の作品だろうと思います。学生がこういった作品を演奏することはとても素晴らしいことだと思います。
まるで、自分がかつて参加した、かわさき合唱まつりや、コーラルフェストを思い起こすような演奏会。楽しめ、そして感動しました。また歌いたいなあと思わせる演奏は、とても気持ちがよかったです。いやあ、また歌いたいなあ。
来年も誘われたら、行くような気がします。いや、自分で行っちゃうかも・・・・・・
え、あなた中大OBでしょって?
そんなのかんけえねえ!です。いいものは良いのです。多分、法政を始めとして、幾つかの大学の演奏会は行くと思います。多分、法政は確実かなと思います。
頑張れ!中央大学音楽研究会混声合唱部!
聴いてきたコンサート
東京六大学混声合唱連盟 第58回定期演奏会
平成28年5月7日、東京池袋、東京芸術劇場大ホール
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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