かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:中央大学音楽研究会管弦楽団 第80回記念演奏会

コンサート雑感、今回は平成30年12月20日に行わました、中央大学音楽研究会管弦楽団の第80回記念演奏会を取り上げます。

学員だからこそ聴きに行っている、中大のオケですが、今回は第80回の定期演奏会となりました。年2回のペースで演奏会を開いていますから、かれこれ40年ということになります。

実際は50年という歴史であり、設立当初は年1回だったことが、プログラムからわかります。私が中大に入学して、初めて聴いたのがまだ定期演奏会が年1回だったときの1989年5月14日のプロムナード・コンサートで、調布グリーンホールでした。まだ学生が響きの良いホールなどでは演奏できない時代です。指揮は今はなき小松一彦氏。メインはベートーヴェンの「運命」でしたが、それほど出来は良くなかった記憶があります。

しかし、そのときに比べますと、今回の演奏会のできは雲泥の差。今レファレンスとしてこのエントリを書くためにインバル指揮フランクフルト放送交響楽団の演奏を聴いていますが、おそらく同等かそれ以上の出来だったと思います。メインは、マーラー交響曲第5番

最近、エントリはコンサート評だけになっていますが、それだけ忙しい上に、私自身の体調も思わしくないのが理由ですが、それはコンサートへ行くのにも影響が出ており、この中大オケも1プロは間に合わず、ホワイエでドヴォルザークの「真昼の魔女」をモニターのスピーカー越しに聴いていました。そこから流れてくるのは、痩せた音がほとんど散見されない、優れたサウンドだったのです。

あ、今回はかなり当たりかも、と思いました。学生たち調子が良いのかな、気合入っているのかなって思いました。何しろ、この演奏会、実はfacebookの非公開グループ「クラシックを聴こう!」でも取り上げられた演奏会でした。それだけ、注目度も高い演奏会でした。

そういうときって、今年の夏の甲子園準決勝で敗退した日大三高ナインのように、変に力が入ってしまいがちなんですが・・・・・

ところがです、1プロが終わり休憩となってホールへ入った、2プロのマラ5は、集中力が半端ない、痩せた音すら聴こえない、素晴らしい演奏だったのです・・・・・ロケーションは、ミューザ川崎シンフォニーホール

このホールは、私も川崎のアマチュア合唱団時代に歌った経験がありますが、自分の声って返ってこないんです。すべて上へ上がっており、音が「降ってくる」からなんです。だから自分の声を信じて、力を抜いて歌うしかない。それがほぼ完璧にできているんです、東響なみに・・・・・いや、多分、東響以上にできていたと思います。

音がすべて上へ上がっているのが、演奏を聴いているとわかるんです。ちなみに今回座った席は、実はパイプオルガンの前で、しかも指揮者の顔が見える位置。つまり、オケの真後ろってわけです。オケは18世紀シフトの対向配置。それがまたいいように各パートがブレンドされていて、心地いい〜

学生オケで、しかもマーラーでここまで心地よく演奏しているのを聴いたことないです。しかも、アインザッツも強めでしかしまったく気にならない。最も難しいと思われる第4楽章の有名なアダージェットも、まるでベルベットのような柔らかさ。そのうえでアインザッツも適当に強いのでアクセントもしっかりついており、飽きさせません。このあたり、プロオケであるはずのフランクフルト放送響は弱いんですよね・・・・・美しいですが。どちらがより強い印象を残すかといえば、迷いなく中大と私は答えます。

しかも、金管が力強く美しい!マラ5は長い作品ですが、その長さがまったく気にならないんです。現在の常任指揮者である佐藤氏の解釈もいいですね。筋肉質なマーラー、いいですねえ。下手に演奏すれば冗長にしか聴こえないマラ5が、あっという間に過ぎ去っていきます。

それは学生との絆なのかもしれません。それを伺わせるのが、第1楽章冒頭のトロンボーン。なんと!佐藤氏が指揮されていないんです。学生が演奏するのに任せているんです。つまり、カデンツァ扱いなんですよね。確かにこのところの中大オケの素晴らしい点は金管で、何度私はエントリで絶賛してきているかわかりません。しかし、指揮をしないとは!これには驚きました。けれども、それは素晴らしい開始で、熱の入った素晴らしい演奏の幕開けとなったのでした。

あまり体を揺らすことのない今年のオケが、今回のマラ5ではかなり体を揺らしていたのも印象的でした。もっと体を揺らしても良かったと思います。アマチュアがもっといい演奏をするには、体全体を使うしかありません。高校球児の全力プレーと同じです。それが減点対象でしょうかね〜。でもそれは、もっといい演奏ができたはずだという、私自身の「信頼」から生まれる辛口批評です。体を揺らさないでいい演奏ができるのなら、揺らせばもっといい演奏になるはずですから。実際、それは府中市民響さんが「わが祖国」で証明してくれています。

ですから、来年の学生達は、体全体をいかに使って表現するかと言うことをテーマにしてくださると嬉しいですね〜。それができれば、先輩たちよりもいい演奏ができると私は信じています。

第5楽章が終わった時、感動でホールに一瞬の静寂が訪れた後の万雷の拍手が、今回の演奏の出来を表していたと思います、本当に素晴らしい演奏でした!その後私は実は勤務だったのですが、こういった素晴らしい演奏は力になります。風邪気味で調子が悪い中、なんとか勤務を終えることができました!そんなエネルギーも自分たちは与えているんだって、認識してくれると嬉しいです。

次回も時間が合えば、馳せ参じたいと思っています!

さて、このエントリで今年最後となります。今月は体調の関係でコンサート評だけとなってしまいましたが、来年からは再び週5での掲載になると思います。来年もまたこのブログをよろしくお願いいたします!




聴いてきたコンサート
中央大学音楽研究会管弦楽団第80回記念演奏会
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響詩「真昼の魔女」
グスタフ・マーラー作曲
交響曲第5番嬰ハ短調
佐藤寿一指揮
中央大学音楽研究会管弦楽団

平成30年12月20日、神奈川川崎、ミューザ川崎シンフォニーホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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