かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:白門フィルハーモニー演奏会2018を聴いて

コンサート雑感、今回は平成30年9月17日に聴きに行きました、白門フィルハーモニーの演奏会についてです。

白門フィル?なんか面白い名前ですねと思った方も多いかと思いますが、このオケ、常設ではありません。じつは「白門」という名でピン!と来た中大出身者の読者の方もいらっしゃるかと思いますが、そう、中大オケのOBOGたちが集まって演奏する団体で、そもそもはかつて中大オケの指揮者をしていた小松一彦氏が亡くなったことを偲んで2013年に一度結成されました。

その後、演奏機会がなく、今回再び集まった、と言うわけなのです。

確か、中大オケの定演を聴きに行った時にちらしが入っていたのが、行くきっかけだったと思います。そのごクレセント・フィルでもしっかりと入っていました。

今回、そのクレセント・フィルや中大オケ、つまり学生も入っていた混合チームだったのですが、演奏は素晴らしかったと思うんですが・・・・・小松先生に対する想いが強すぎるかなって思った点もありました。

プログラムは以下の通りで、交響曲二つのおなかいっぱいPGです。

�@チャイコフスキー 交響曲第5番
�Aベルリオーズ 幻想交響曲

普通、どっちを1プロに持ってきますか?まあ、悩むところですが、やはり幻想を持ってきたいところですよねえ。ところがです、なんと1プロがチャイ5だったんです。

当日、じつは体調がそれほど万全ではなくて、これは1プロが途中かだな、恐らく幻想だから、何とか断頭台の行進くらいまでには間に合うだろうと、会場である板橋区文化センターへ足をはこんだのです。無料でしたしね・・・・・・これ、意外と今の私にとっては大きいので。

ところがです、着いたらモニターから流れてくるのは、チャイ5の第4楽章・・・・・え?そんなことすんの〜!

じつは、幻想よりはチャイ5を楽しみに行ったのです。私が大学中に初めて中大オケの演奏を聴いた時のメインが、調布グリーンホールでのチャイ5だったからです。だからこそそれを聴きたかったのに、なんともう始まってしまって、終ろうとしていた・・・・・

でも、第4楽章だけでも、素晴らしい演奏でした。これが第1楽章から聴いていればもっとよかったのになあと、体調が万全でないことが悲しかったのですが、聴いているうちに、金管がひっくり返っていることに気が付いたんです。

小松先生への想いが強すぎたと思うのがその金管のひっくり返りなんです。強すぎるゆえに、自分の想いが先行してしまうんですね。それがなければもっとよかったと思います。指揮者は現在の大学オケの指揮者である佐藤先生なのですから・・・・・

金管のメンバーをプログラムで確認してみたら、けっこう私と同じくらいの、ちょうど小松先生が指揮者だった時代の人がいるんですよね。ああ〜、納得と思いました。もし私がおなじ立場だったら、これは分かるわって思います。けれども、演奏ってやはりアンサンブルを合わせてなんぼ、ですから・・・・・・

特にチャイ5は、チャイコフスキーの思いのたけが詰まっている作品だとも言えますから、保有するエネルギーが半端じゃないんですよね。だから、どこかで飲み込まれないようにしておかないといけないんですが、そこが油断するとつい飲み込まれていくんですよねえ。うまーく乗れると素晴らしい演奏へと繋がりますけれど・・・・・ここが、演奏すると言う事のむずかしさであり、醍醐味だと思います。

さて、メインの「幻想」。正直言えば、そのチャイ5でのひっくり返りを聴いてからは、このメインは納得でした。多分「幻想」じゃないと、小松先生への想いという「呪縛」を手放すことはできないんだろうなって思ったからです。

幻想交響曲は言うまでもなく、ベルリオーズの代表的作品で、交響曲と言っても、後期ロマン派における交響詩の曠野とも言うべき作品です。標題音楽とは言え、チャイ5のような強い意志が内包されているわけではありません。ですから、感情に流されずに真摯に楽譜と向き合い、演奏に集中することができます。

それでもです。アインザッツの強さといったら!いやあ、気合入りまくりです。しかもアンサンブルは最高!特に、あの有名な「断頭台への行進」はまるで自分たちの小松先生への想いを振り切るかのような気合い!今、ムーティ指揮フィルハーモニアの演奏を聴きながら書いていますが、美しさは確かにフィルハーモニアのほうが上です。しかし、その気合いでは白門フィルのほうが数段上だったと言えます。

特に、「断頭台への行進」は、幻想交響曲でもまるで幻影を見ているような部分で、まあ、はっきり言ってしまえば、「逝って」しまっている様子でもあるわけです。もっと言えば、精神医学的に言えば病的状態で、入院加療が必要なレヴェルです。その状態を健康であるはずの団員たちがしっかりと「病的に」表現しているは素晴らしい!これは、聴いているフィルハーモニアでもできていません。だから美しくだけになってしまうんです。そこにどこか病的なものがないと、作品の内面を表現しているとは言いがたいのではって、私の仕事の経験上からはそう思います。

最後の所謂「ワルプルギスの夜」までその緊張が途切れることなく、突っ走ったのは唸りました。いやあ、チャイ5よりも素晴らしかったです!それは多分、参加した人たちも同じ思いなのではないでしょうか。距離を取れる方がよほどいい演奏に繋がるんです。それでも、チャイ5って取れなくても感動できてしまうから不思議ですが・・・・・

普段はそれぞれの団体で活躍するアマチュアたちが、集まって一つにアフウヘーベンする・・・・・素晴らしい演奏だったと思います。今後も定期的に続けられると、学生にもまたより多くの機会が与えられると思います。こういった取り組みを中大OBOGたちがやっていることは、同じ中大OBとして勇気をもらえます。是非とも続けてほしいなって思います。




聴いて来たコンサート
白門フィルハーモニー演奏会2018
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
交響曲第5番ホ短調作品64
エクトル・ベルリオーズ作曲
幻想交響曲作品14
佐藤寿一指揮
白門フィルハーモニー

平成30(2018)年9月17日、東京板橋、板橋区文化センター大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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