かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:クレセント・フィルハーモニー管弦楽団第37回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和3(2021)年7月10日に聴きに行きました、クレセント・フィルハーモニー管弦楽団の第37回定期演奏会のレビューです。

中央大学出身の私にとって、中大オケは学生時代の節目でお世話になったオーケストラで、そのOBOGたちが卒業後の活動したいと設立したのがクレセント・フィルであることは、以前説明しました。

crephil.moo.jp

1年半ぶりの定期演奏会。コロナがまだ終息しているとはとても言えない状況ではありますが、どのような対策がいいのかはわかってきている感じになっています。特にクレセント・フィルが主に活動している東京都下は、23区に比べれば落ち着いていると言える状況。それでも1年半活動再開までかかっているというのが現状であると思い知らされます。

さて、実はこの日、別の団体をそもそもは予定していました。ところが直前になってクレセント・フィルが定期演奏会を同日に開催する、しかもバッティングと知り、悩んだ末にクレセント・フィルを選んでいます。理由は会場が近い(ひの煉瓦ホール)ため開始時刻に間に合うから、だったはずなのですが・・・・・

私の現場には、現在土日祝日に半ドンのようなポストがあり、8時30分から13時までの勤務となっています。もともとはコンサートがあったので休みにしてもらっていたのですが、出るはずの人が休みとなり、代わりの候補に挙がった人も用事があるということで辞退。そこで公休であるがシフト調整で比較的協力している私に白羽の矢が立ったのでした・・・・・いやあ、コンサートがあるから公休にしてもらったんだけどなあと、一旦は悩みました。

しかし、最終的には14時からだったので、その要請を受けることにしました。そのため当日はものすごく忙しく、1プロの第1楽章は聴けずじまいだったのは残念です(新宿から立川まで特急「かいじ」に乗ったにも関わず、です)。オールモーツァルト・プログラム、交響曲第29番と第40番。

再開において、このプログラムにはずいぶんと工夫の跡が見て取れるなあと思います。オケの団員の方ならわかると思いますが、モーツァルト交響曲であるとしても編成がとてもコンパクトで、モダン・オケであれば室内オケでも十分演奏できてしまうくらいです。実際今、この原稿を書くにあたり、参考に第29番は神奈川県立図書館で以前借りてリッピングしてある、マリナー指揮聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミー(アカデミー室内管弦楽団)の演奏を聴いていますが、十分です。

そもそもはクレセント・フィルだけでもそこそこ人数がいて、そのうえで中大オケの学生も通常は参加するので、ほとんどエキストラを必要としないオーケストラです。今回も学生が参加しているため、エキストラは一人だけです。それでも、人数的にはだいぶ少ない数しか乗れていません。しかしそうでなくては練習もできず密になりすぎてしまう・・・・・ジレンマですよね、本当に。できれば、そういう苦労を芸術関係はしたうえでパフォーマンスをしていることを、オリンピックに出る選手たちは知っていてほしいと思います。中止でも全くおかしくない状況なのですから。

そんな中迎えた演奏会であるせいなのか、オケのパフォーマンスは素晴らしく、もちろん以前から素晴らしいオケなのですが多少アマチュアらしい部分が散見されることが多かったオケだったのに、見違えるようです。力強くかつしなやかな弦は本当に美しい!管はほとんどが学生であるせいか繊細ははいまいちでしたけれど、壮大に演奏するのはかえって良かったと思います。特に第29番では抜群!

唯一の問題は、テンポ。第40番は大抵ゆったり演奏するのが常ですが、指示は「モルトアレグロ」。つまり「非常に速く」という意味です。Prestoよりは遅いですが、かなり快活に演奏することが求められるはず、なのですが・・・・・どこかアンダンテ的に演奏することが多いのが残念に思っています。今回もそんなアンダンテのようなテンポだったのは残念なのですが、しかしながら、説得力もある演奏だったのが印象的です。

どういう事かと言えば、プロオケでもとにかくゆったりとという感じで演奏することが多いのですが、クレセント・フィルの場合、なぜそのテンポなのかが明確なのです。歌いまくっているんです。甘い感じというわけではないんですが、しっかりとオケが鳴っているんですよね。そこにこの演奏の魅力があり、テンポ的にどうかなあと思いつつも最後には満足して聴いている自分がいたのには参りました。こういう演奏を、アマオケ、しかも母校出身のオケで経験するとは思いもしない経験でした。

アンコールのディヴェルティメントも決して速いテンポではなくもしろステディながらもしっかりとした足取りという感じで、かつ美しいアンサンブルだったのも脱帽です。クレセント・フィルはこの1年半の苦しい経験を無駄にしなかったんだなと、感動すら覚えました。このご時世で少なくとも1000人くらいは入るはずのひの煉瓦ホール(日野市民会館)に300人しか入れないという条件での開催の中、万雷の拍手が巻き起こったのは当然だったと言えるでしょう。次回もまたぜひとも足を運びたく思います。

 


聴いて来たコンサート
クレセント・フィルハーモニー管弦楽団第37回定期演奏会
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第29番イ長調K201(186a)
交響曲第40番ト短調K550
ディヴェルティメントニ長調K136より第3楽章(アンコール)
新通英洋指揮
クレセント・フィルハーモニー管弦楽団

令和3(2021)年7月10日、東京日野、ひの煉瓦ホール大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。