かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:エルガー 交響曲全集2

東京の図書館から、シリーズで小金井市立図書館所蔵のエルガー交響曲全集を取り上げていますが、今回はその第2集を取り上げます。

前回も述べましたが、エルガー交響曲は完成されたものとしては2つしかないので、この第2集で終わりということになります。第2集には第2番と序曲「コケイン」が収録されています。

交響曲第2番は1911年に完成した作品で、ちょうど前年に崩御したエドワード7世の治世を回顧する内容になっています。

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同じウィキのエルガーの項目では、聴衆があまり熱狂しなかったことをエルガーが訝しるくだりがありますが、それは聴衆はそうだろうなあと思います。別に作品が悪いわけではなく、それだけ感傷に浸る人が多かっただけの話でしょう。この第2番を聴くと、私がなぜ第1番を好きになれないかが明確な気がしています。第1番は甘い愛国主義で、ともすればナショナリズムへと傾倒する作品だと私が感じているからだろう、ということです。

この第2番はそれに対し、素直な愛国主義が表現されているので、受け入れることができているのだと思います。その傾向は「コケイン」のほうがさらに顕著で、聴いていて楽しいくらいです。都市の息吹が聴こえるよなあと思います。日本の都市にも、そんな息吹はあるはずです。この一年すっかり遠のいていますが・・・・・

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エルガーという作曲家は、善きにせよ悪しきにせよ、ベートーヴェンの影響を受けてしまっている作曲家だなあと思います。そして19世紀末の後期ロマン派国民楽派の影響も随分と受けています。聴いているだけではそこまで感じないかもしれませんが、特に第1番には強い影響を私は感じます。一方、この第2番とコケインには、それほど感じません。民謡採集運動を是とはしなかったエルガーであっても、やはり自らが囲まれた音楽には素直に反応しているわけで、むしろその民謡採集運動の影響がいい方に現れた結果なのではないかと思います。

そしてこの全集、実は単なるエルガー交響曲全集ではありません。むしろプレヴィンの芸術と題してもいい内容となっています。というのは、この第2集におけるオケはロイヤル・フィルではなくロンドン響です。ロンドン響のステディかつ歌う演奏はちょうどいい距離感を保っているため作品が持つ魂をむしろ素直に表現しているように感じます。そして全体を聴いてプレヴィンのタクトは冴えています。ですがゆえに、第1番は受け入れられなかったですし、第2番にはシンパシーを感じます。それはプレヴィンが悪いわけではありません。むしろ優れた才能を感じるところで、まさに賞賛すべきことです。

ですが、その才能ゆえに、第1番のタクトは私が受け入れられなかっただけ、です。これは私のポリシー、あるいはよって立つスタンスの問題なのでどうしようもありません。エルガーだと室内楽や協奏曲だなあと思いますがそれは交響曲というジャンルがダメなのではなく、あくまでもその音楽性を私自身が受け入れることができるか否かということです。ですので興味を持った皆さんはぜひとも聴いてほしいですし、ご自分の耳で確かめてほしいのです。

 


聴いている音源
エドワルド・エルガー作曲
交響曲第2番変ホ長調作品63
序曲「コケイン」(首都ロンドンにて)作品40
アンドレ・プレヴィン指揮
ロンドン交響楽団

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