かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:サヴァリッシュとシュターツカペレ・ドレスデンによるシューマン交響曲全集1

東京の図書館から、今回と次回の2回で、小金井市立図書館のライブラリである、ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮シュターツカペレ・ドレスデンの演奏によるシューマン交響曲全集を収録したアルバムをご紹介します。

シューマン交響曲に関しては、すでに幾度か取り上げておりますので、この2回に関しましては、演奏について語っていきたいと思います。

ヴォルフガング・サヴァリッシュ。私が好きな指揮者の一人です。最初にベートーヴェンの第九の演奏に出会ったのも、サヴァリッシュが指揮したN響のものです。堅実な演奏をしつつも、熱いものが込められている演奏であるのが魅力です。

まず、第1回はシューマン交響曲第1番と第2番が収録されている、1枚目をご紹介となります。シューマン交響曲は決して番号順に成立したわけではありませんが、それでもこの第1番と第2番はシューマンの個性が前面に出ている作品。それを奇をてらうことなくオケに演奏させるのが、サヴァリッシュ流。

オーケストラは、シュターツカペレ・ドレスデン。借りてきたCDには「ドレスデン国立管弦楽団」とありますが、正確にはザクセン州立歌劇場のオーケストラであるので、国立という名を当てはめるのなら「ドレスデン国立歌劇場管弦楽団」のほうがより正しいのではないかという気がします。ウィーン・フィルのように使い分けるということがないので(ウィーン・フィルも国立歌劇場のオーケストラなので、歌劇場にてオペラのオーケストラになるときは「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」の名称を名乗ります)・・・・・

ja.wikipedia.org

もっと言えば「ザクセン州立歌劇場管弦楽団」になるのかもしれませんが、ただシュターツカペレ・ドレスデンを和訳するならやはり「ドレスデン国立歌劇場管弦楽団」のほうが正確でしょう。ただし、現在ドイツの歌劇場で国立はなく州立です。ザクセン州立歌劇場のオーケストラが、国立歌劇場時代の栄光も含めてシュターツカペレ・ドレスデンと名乗っているのです。

その、シュターツカペレ・ドレスデンは非常に器用かつ堅実なオーケストラです。響きも美しくかつ生命力ある演奏を得意とします。そしてこういった録音ではドレスデンのルカ教会を使うことが多いのですが、この録音もその例にもれずルカ教会におけるセッション。しかしその教会の残響をうまく作品の生命として利用しているなあと思います。

サヴァリッシュはそういったオーケストラの特徴をつかんでのことなのか、どっしりとしつつもどこか生命を感じる演奏をさせていて、激しい情熱的な部分もあって、ついこちらは演奏にのめりこんでいきます。

シューマン交響曲はバランスが悪いだとか、交響曲としては失敗作だとか言われがちですが、しかしこの演奏ではむしろシューマン交響曲には個性が詰まっており、その個性が生み出すさまざまな和声や転調こそ魅力なんだと、気づかせてくれます。サヴァリッシュという人はとても地味に見えますが、端正な演奏の中に「気づき」をしこむ名人だと私は思っていますが、この演奏でも証明されているように思います。決して全体的に筋肉質というわけではないんですが、しかし部分的に筋肉質な演奏はいいアクセントになっており、シューマン交響曲が実はとてもおいしいディナーであることを教えてくれます。

これぞ、サヴァリッシュがタクトに込めた「仕込み」なのです。そしてその「下ごしらえ」は素晴らしい一皿として、私たちに提示されているのです。それはとてもおいしい一皿です・・・・・

 


聴いている音源
ロベルト・シューマン作曲
交響曲第1番変ロ長調作品36「春」
交響曲第2番ハ長調作品61
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮
シュターツカペレ・ドレスデンドレスデン国立管弦楽団

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