神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンによるベートーヴェンの交響曲全集を取り上げていますが、今回は第4集に収録の、第7番と第8番を取り上げます。
ここからは番号順なんですが、そんなことを吹き飛ばすかのような個性的な演奏が、この第4集は注目だと思います。個性的と言っても、奇抜なことをやっているわけではありません。
テンポとしてはそれほど快速ではなく、どっしりとしています。ですので、重厚さはありますが、過度に重々しく聞き苦しいということはありません。生き生きとしていて、むしろ音楽的に落ち着いているので聴きやすいと言えます。
特に第8番は、通常の演奏であれば第1楽章はかなり快速と言うか、音を「立てて」演奏することが多いわけですが、この演奏ではレガートと短音をうまく使い分け、ピリリとしたアクセントを生み出すことに成功しています。
正直なことを言えば、こういう演奏は私は不得手です。なのに、全く違和感ないですし、むしろこういう解釈があったのかーと驚きと勉強になることだらけです。ブロムシュテットはこのように、私の美意識と相いれないんだけど、でもどこか否定はできないんだよなあっていう演奏があるんです。
ですからブロムシュテットの指揮するものをそのネームバリューで判断することは、一部のカラヤン嫌いの人たちとは異なりしません。むしろカラヤンよりは私はブロムシュテットのほうが好きですし、好みに合います。この第7番と第8番は決して私好みではないものの、思わずうなってしまう演奏なんです。
こういう演奏こそ、実は歓迎する物なんですよね。今「今月のお買いもの」でもヨッフムのベートーヴェン交響曲全集を取り上げていますが、ヨッフムのような「意外性」がしっかりとありつつも、それは決して奇をてらったものではなく、むしろしっかりとスコアリーディングをし、団員と積み上げた結果なんです。それが素晴らしいですね。
どうもクレンペラーなど、大指揮者に傾倒する人が多いのか、ブロムシュテットの評価はいまいちな部分もありますが、玄人筋では評価が高いのはこの第4集を聴きますとうなづけます。
しかも、ロケーションはキリスト教会。なのにまるで多目的ホールのような残響の作り方をしており、でもそれが全く問題にならない・・・・・その部分がまさしく職人です。それはブロムシュテットもそうですが、シュターツカペレ・ドレスデンも同様でしょう。歌劇場オケであるのに、本当に柔軟な技能を持っています。
正に多くのクラシックファンに聴いてほしい演奏です。
聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第7番イ長調作品92
交響曲第8番ヘ長調作品93
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管弦楽団)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
このブログは「にほんブログ村」に参加しています。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村