かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヨッフムのベートーヴェン交響曲全集1

今月のお買いもの、平成29年8月に購入したものを御紹介します。今回はディスクユニオン大阪クラシック館にて購入しました、グラモフォンのヨッフム指揮のベートーヴェン交響曲全集をご紹介します。

ちょうど大阪へ行く用事があって、いつかは大阪クラシック館で買い物したいなあと思っていました。何分、ワルティさんが店主の死去で中古市場がなくなってしまった形になっていましたので。大阪へ行っても楽しみが半減したなあって思っていたところ、ディスクユニオンが大阪へ出店するということになって、楽しみにしていたのです。

そんな地域差なんてあるの?って思うかもしれませんが、意外とあります。私が持っているものが売っていたりとか。なぜそれが店頭にあるのかはそれぞれ固有の事情があるでしょうが、それでも関東では持っていないものが沢山売っていたりしますが、ワルティさんの時は結構あれ?これ持ってるというものもたくさんあったのです。

それがどのように変わっているのかが、楽しみだったんです。

で、地域差と言う事から言えば、今回は見送ったんですが、朝比奈隆/シオン・ウィンド・オーケストラのCDがあったりして、大阪らしいラインナップもしっかりあるんです!しかも朝比奈さん専門の棚があるんですね〜。こういうラインナップは良いなと思います。関東でも在京オケのコーナーを作るとかやってほしいです。

その上で今回は予算とヴォリュームとの兼ね合いで、ベームベートーヴェン交響曲全集を買ってきました。本当に大阪らしくないものなんですが、でもこの全集はとても面白い全集です。こういった商品を扱うのも、東京ではない大阪らしさだなあって思います。

というのも、この全集、オケがベルリン・フィルバイエルン放送交響楽団の二つを使って、ヨッフムが振り分けているんですね。そもそも、ヨッフムがグラモフォンで録音することも珍しいですし、そのためにまたベルリン・フィルを振ることも珍しいなあと思い、購入したのです。

第1集は第1番と第3番が収録されているんですが、第1番がバイエルン、第2番がベルリン・フィルが担当オケです。第1番はさすがヨッフムハイドン先生の影響が強いさくひんでありながらもベートーヴェンの個性が出ている作品を、存分にオケを鳴らして演奏させ、その結果豊潤な響きが生まれているのは素晴らしい!

そして、さらに注目なのが第3番「英雄」。よくベルリン・フィルだとカラヤンの演奏は駄目だよなあ、なんか音がきつきつになっているし、特にクライマックスで・・・・・と言われるんですが、同じ現象がこの演奏でも出ているんです。

指揮者、ヨッフムですよ?カラヤンではありません。カラヤンとは距離を置いた指揮者です。なのに、共通する音が存在する・・・・・なぜなのでしょう?

この演奏は、1950年代の録音です(英雄に至ってモノラル!)。となれば、レコーディング・エンジニアの腕が左右される時代なんです。レコードにどんな「色付け」をするのかが、その指揮者の名声にも関わっていた時代です。そんなことを考えると、この全集の「意図」が見えてきます。

本来のヨッフムは、アムステルダム・コンセルトへボウや、バンベルク響のような、ベルリン・フィルのともすれば硬質な音ではないオケを振ってきた指揮者です。その指揮者が、硬質なベルリン・フィルを振ったら、どうなるのだろうかという試みである、と言えるでしょう。その上でしっかりとしたアンサンブルで豊潤な音を生み出すバイエルンと聴き比べてみたら・・・・・というものです。

その結果が、いきなり第1集から提示されているわけです。いやあ、これは面白いですよ!その上で申し上げますと、この全集、関東のディスクユニオンでは店頭であまり見かけないです。見ていればたいてい記憶に残っていますから。しかし、この全集は有名でありながらも、関東の店頭では見たことがなかったのです。

その意味では、さすが大阪だなあって思います。しかもですよ、その第3番は疾走感もある!

この演奏を聴きますと、カラヤン批判は本当に的を得ているんだろうかって思います。勿論、わたし自身もカラヤンを手放しで評価しているわけではないです。嫌いな演奏もあります。でもそれは聴かなければいいだけですし、たいていそのような演奏は図書館から借りてきて、いつでも消去できるようにしてありますw

あるいは、このように中古市場へ放出すればいいのです。好きな人がいれば買ってくださりますしね。この演奏がどのような経緯で中古市場に出てきたかはわかりませんが、放出してくださった方には感謝の言葉しかありません。その方にとっては好きな演奏ではなかったのかもしれませんが、私にとってはとても興味深く、素晴らしい演奏です。

恐らく、カラヤンの演奏が嫌いだって言っている人は、その当時のレコーディング・エンジニアと美意識が合わないんだと思っています。私もそうですから。カラヤン晩年のウィーン・フィルとのもののほうがよほどいいです。ということは、ベルリン・フィル自身の音作りが必ずしも合わないんだろうなあって思います。

わたし自身、実はベルリン・フィルというオケが好きなのかと言えば、嫌いではないけどなあってオケです。その程度なんです。確かに、ベルリン・フィルは素晴らしいオケです。それは認めます。しかし、その音が、響きが自分の美意識と合うのかと言えば、必ずしもそうではないんです。それは第九で散々経験しました。そしてその「響き」は生音を聴いていない限り、記録された音でしか経験できません。その記録の過程では、編集者やレコーディング・エンジニアの腕の影響を受けます。

その影響も含めて、CDの音とは「音」なんです。ですから、私は指揮者だけではなく、かなり特色がある時は編集者やレコーディング・エンジニアにも言及するんです。できれば、皆さんもCDを聴くときに、レコーディング・エンジニアが誰なのか、注目すると面白いと思います。大抵のCDにはクレジットされていますし、特にこのようなグラモフォンであれば必ず記入があります。とても小さな字ですけどね・・・・・

でも、CDの「音」を評価するときには、その「指揮者とオケ以外の人たちによる音作り」も、商品として考慮することが大切なんじゃないかなって思います。どんなホールで演奏されているのか、とかも。とても重要な情報なんですよね。結構評論家の先生たちの中には端折っている人も多いので、注意が必要です。悪気がある場合と、そうせざるを得ない場合とがありますけれど・・・・・

いきなりこの全集では、そのような「差」を楽しむこと、知ることの重要性を突きつけられているように思いますし、またその差を楽しんできた私の姿勢は間違っていないのだということを、共感してもらっているように思います。




聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第1番ハ長調作品21
交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
オイゲン・ヨッフム指揮
バイエルン放送交響楽団(第1番)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(第3番)
(ドイツ・グラモフォン 474-020-1)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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