東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、デュカスのバレエ音楽「ぺリ」と、交響曲を収録したアルバムをご紹介します。
フランス音楽と言って、どんな作曲家を思い浮かべるでしょうか?デュカスの名前、出てくるでしょうか?実は私もなかなか出てこない作曲家です。
しかし、フランスらしい音楽ということで言えば、デュカスほどフランスらしい音楽を書く作曲家もいないかもしれません。そんなデュカスの作品を収録したこのアルバム、まず第1曲目としてバレエ音楽である「ぺリ」が収録されています。
これもロシア・バレエ団のために書かれた作品ということで、昨今の状況からして、この作品も上演禁止となるのだろうかと、考えてしまいます。むしろ、この作品は現代にも通じる批判精神を持っているようにも思えるのですが・・・・・
さて、ロシアのミサイル「イスカンデル」は、はたしてロシアの「永遠のロシア」というプーチン氏の希望を叶えるものなのでしょうか・・・・・・この作品の中では、イスカンデル王は叶えられなかったのですが。
2曲目が、交響曲。デュカスも書いていたのか!と目からうろこ。しかし重厚な和声と、そこから生み出される色彩感あふれる響きは誠にフランスらしさを持っています。そもそも、3楽章制ということでフランスらしさを思いっきり意識した作品でもあります。
二つの作品とも、フランスらしさが前面に出ている、優れた作品であることは言うまでもないでしょう。
さて、演奏するのは、フランスものを得意とするスイス・ロマンド管弦楽団。指揮するのはアルミン・ジョルダン。この組み合わせもいい演奏を想起させますが全くその通りで、色彩感あふれる作品をその通りに現出させるだけでなく、雄弁に物語る表現力も魅力。初めて聴く交響曲も説得力ある演奏ですし、さすがだなあと思います。
しっかりと歌われている演奏になっているのも魅力で、どこを切っても金太郎あめのように期待を裏切りません。どうしてもフランスの作曲家の交響曲なんてと思ってしまいがちなのですが、歌うことで雄弁さが増している演奏は、何度聴いても味わい深く、飽きさせることがありません。これぞプロの演奏を聴く醍醐味です。
こういう瞬間こそ、幸せな時間だと思います。
聴いている音源
ポール・デュカス作曲
舞踏詩「ペリ」
交響曲ハ長調
アルミン・ジョルダン指揮
スイス・ロマンド管弦楽団
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