東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介します。テレマンが作曲した無伴奏フルートのための12の幻想曲を収録したアルバムです。
無伴奏フルートとありますが、作曲時はリコーダー用であったろうと思います。トラヴェルソ用であればこの題名でいいのですが・・・・・
とはいえ、現代はバロック・リコーダーのための作品はモダンで演奏する場合はすべてフルートになりますので、これは致し方ない部分ではあります。それでも、フルートの美しい音色を生かした、美しくも哀愁のある作品がそこに並んでいます。
1732~33年にかけてハンブルクで作曲された作品であることから、おそらくリコーダーで簡単に楽しむために作曲されたものであろうと推測されます。
12曲ひとまとめというのもバロックらしいともいえますが、いずれにしても、ある程度リコーダーを吹くことができたり、演奏出来たりする人たちが簡単に独奏できる作品として書かれたものでありましょう。今でも中学生が吹くリコーダーの作品は多くがバロックの作品だったりします。テレマンのこの作品もそんなアマチュアでも楽しむために作曲された作品であると考えて差し支えないと思います。
とはいえ、この演奏はプロがしていますから、実に味わい深いものがあります。歌うところは歌っていますので、聴いていて飽きが来ません。それにしても、本来はタンギングのところをフルートでうまく演奏するのはさすがです。そこに作品が持つ秘めた喜びがあったりするのですが、フルートだとタンギングよりは唇のコントロールになりますから難しい部分もあるかと思うのですがみじんも感じさせず、むしろ聴衆を喜ばしているのですから、これぞプロの仕事でしょう。
そんなフルーティストは、バルトルト・クイケン。「ラ・プティット・バンド」を結成したシギスバルトは兄です。その関係からバルトルトもラ・プティット・バンドでトラヴェルソを吹いています。そんなこともあり、モダンのフルートということになったのでしょう。実に優れた表現が満載で、ともすれば単純になりかねないバロックの作品を存分に歌っているのは素晴らしく、心に残ります。自分の魂が浄化されていくというか・・・・・
しかし、できればこの曲はリコーダーで聴きたいですねえ。勿論この演奏は素晴らしいのですけどね・・・・・
聴いている音源
ゲオルグ・フリードリッヒ・テレマン作曲
無伴奏フルートのための12の幻想曲
バルトルト・クイケン(フルート)
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