かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:タルティーニ 作品集

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリである、タルティーニの作品を収録したアルバムをご紹介します。

タルティーニは、おそらく「悪魔のトリル」で有名な人だと思いますが、私は実は知人に教えてもらうまで、「悪魔のトリル」という名前すら知らず、タルティーニという人も知らなかったのですが、そういう時には悪魔のトリルから入るのではなく、室内楽から入るのが適切だと常々考えており、このアルバムを借りてきた動機も、なら室内楽を聴いてみよう、と思ったからです。

その意味では、「作品集」というのはあまり適切ではなく、室内楽曲集とするほうがいいとは思いますが、管弦楽作品はあまり有名ではないらしく、室内楽で有名な人であるようです。

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バロックの作曲家ですが、活躍した時代はベートーヴェンが生まれるころあたりまでなのです。その意味では、前古典派の時代においてかたくなにバロック音楽を書こうとした人、とするのが適切かもしれません。収録されているソナタ各曲も、バロック的ですがどこか古典派の匂いもする作品が並んでいます。時代の波には勝てないと言ったところでしょうか。

むしろ、タルティーニの音楽は、ハイドンモーツァルトへとつながるような音楽です。イタリア・バロックの系譜をひきつつも、どこかバロックだけとは言えないようなその音楽。タルティーニ自身はバロック音楽を書いたつもりでも、どこかに前期古典派の匂いが付きまといます。

こういうアルバムを聴きますと、タルティーニが特殊な作品を生み出したのではなく、時代の流れの上で自然と「悪魔のトリル」のような作品が生まれてきた、というほうが適切だろうと思います。それはおそらく、30年後にベートーヴェンが活躍するのを予感させるものでもあったことでしょう。どこから見てもバロックですけれど・・・・・

このような「隠れた先進性」を見つけるのは私の楽しみの一つであり、まさに時代が移るというのはらせん状であると思います。

演奏は決して何かを主張するようなものではないですが、でははい演奏しましたというものでは決してなく、むしろ演奏者が音符を「味わって」いるのが印象的です。では冗長かといえばそれでもなく、むしろ生き生きとすらしているのも特徴的です。「悪魔のトリル」の印象でいると、腰抜かすくらい歌を歌い、平明です。それでいて生き生きとしている。だからこそ聴いていて楽しいのです。タルティーニのうように必ずしもメジャーとは限らない作曲家の作品が、生き生きと生命力があると聴かせることこそ、プロだなあと思います。

 


聴いている音源
ジュゼッペ・タルティーニ作曲
コレッリの主題による変奏曲
三声のソナタ ニ短調
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ニ短調
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調「パストラーレ」
三声のソナタ ニ長調
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト短調作品1-10「見捨てられたティド」
ピエロ・トーゾ(ヴァイオリン)
エドアルド・ファリーナ(クラヴサン
イタリア・バロック四重奏団

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