神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回で、バッハの無伴奏チェロ組曲を取り上げます。とは言っても、通常の演奏ではなく、リコーダーによるものです。
バッハがリコーダーによるものを編曲をしたという事実はないんですが、意欲的な演奏だと思い、借りた記憶があります。リコーダー自体も、バッハが生きた時代はとてもポピュラーでした。
調性を変えずにそのままリコーダーというのも、これまた面白い点です。しかも、リコーダーだとさらに表情が付くのが魅力的。実際に演奏を聴きますと、さみしさや素朴さといったものが演奏からにじみ出ます。
バロックにおいて、組曲とは舞曲集を意味します。その舞曲それぞれにさらに素朴さだとかさみしさなどの表情が付きますと、なんといろんな表情を見せることか!バッハはそんな表情を作曲の時に仕込んだんじゃないかと思うくらいです。
今回聴いているのは前半第1番~第3番ですが、それだけでももう表情としてはチェロよりもさらに様々。演奏するのはマリオン・フェアブリュッヘン。あまり聞いたことのない演奏家ですが、しかし舞曲としてしっかりと「踊り」つつ、そこに素朴さが自然とにじみ出ているのはとても不思議かつ魅力的な演奏です。まるでバッハ自身が編曲したかのよう。けれどもこれはあくまでもフェアブリュッヘン自身の選択でしかありません。その選択がとても味わい深く、かつ楽しめるのは、これぞプロの仕事だと言えるでしょう。
聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
無伴奏チェロ組曲(リコーダー版)
組曲第1番ト長調BWV1007
組曲第2番ニ短調BWV1008
組曲第3番ハ長調BWV1009
マリオン・フェアブリュッヘン(リコーダー)
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