かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:コダーイ チェロ作品全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から3回シリーズで、コダーイのチェロ作品全集を収録したアルバムをご紹介します。

コダーイと言えば、ハンガリーを代表する作曲家であり、音楽教育家でもありました。「ハーり・ヤーノシュ」や「孔雀」で有名な人ですが、結構小品というか、管弦楽以外の方面でも有名な作曲家でもあります。私などは合唱曲でもシンパシーがある人でもあります。

そんなコダーイの、チェロのための作品を集めた全集の、まずは第1集。小品と二重奏曲、そしてバッハの作品を編曲したものとバラエティに富んでいます。

「抒情的ロマンス」と「アダージョ」の2曲は、実にコダーイらしい和声で聴かせるチェロのみの作品。これも素晴らしいのですが、特に印象的なのは、「3つのコラールとプレリュード」。BWVからすればあまり関連がない3つの作品を、コダーイらしさを前面にだした編曲となっており、特に「ああ、そもそもわれらの命はBWV743」はまるで別の作品になっているかのようです。

ただし、この3つのコラール、バッハ事典を紐解いてみると、すべて偽作の疑いが・・・・・となると、この3つが組み合わさったのは、コダーイの意図したものかもしれません。BWV747に至っては、ブクステフーデの様式とも言われています・・・・・ただ、それでバッハが作曲しないとも限らないので、なんとも言えないところ。そのあたりを、コダーイは自らの編曲で確かめたかったのかもしれません。

そして、ヴァイオリンとチェロの二重奏曲。和声的にハンガリーの民俗音楽を背景にしている部分もたくさんありますが、とても甘くて、もうパフェよりも甘いかも(って、スピードワゴンかよ!)。それもまた、素敵な時間が過ごせる音楽だと思います。

コダーイと言えば、ハンガリーの民俗音楽を基礎とした和声によって、どこかエキゾチックな印象がありますけれども、やはりヨーロッパなのだということを、この第1集では教えてくれます。コダーイという作曲家の本質を、この第1集では提示しているように私には思えます。

演奏するのは、ハンガリー演奏家たちですが、確か元音源はナクソスだったと思いますけれど、本当にリスペクトしているというか、歌っているんですよね。こういう演奏は私好みです。どんな演奏評であったとしても、たとえばカラヤンを文明論で語ったところで共感を得にくいと思います。むしろ、その演奏は歌っているか、その歌は自らの歌か?という問いのほうが、なるほどと思ってもらえるのではないでしょうか。

この演奏もしっかり歌っており、さすがプロというところ。もう少し歌ってもいいんじゃないかって思う部分もありますが、それは演奏者と私の違いなのかもしれません。

 


聴いている音源
コダーイゾルターン作曲
叙情的ロマンス(1898)
3つのコラールとプレリュード(原曲;ヨハン・セバスティアン・バッハコダーイ編曲)
 1.ああ、そもそもわれらの命はBWV743
 2.天にましますわれらの父よBWV762
 3.われらに救いを賜うキリストはBWV747
アダージョ(1906)
ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲作品7
ミクロ―シュ・ペレニー(チェロ)
デネス・ヴァリョン(ピアノ)
ガボール・タカーチ・ナジ(ヴァイオリン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。