かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ウェーバー フルート・ソナタ集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はウェーバーのフルート・ソナタを収録したアルバムをご紹介します。

ウェーバーと言えば、私としては結構管楽協奏曲という印象が強いのですが、このアルバムもフルート・ソナタなのです。なぜか本当にウェーバーだと管楽器づいているんですよねえ。

大きなソナタと、小品程度のソナタと二つ、合計7曲が収録されていますが、どれもロマン派らしい流麗な作品ばかり。聴いていて楽しいです。

まず、「大きいソナタ」である、作品39。実はもともとはピアノ・ソナタ第2番。おっと!そうなるとウェーバーのピアノ・ソナタも聴きたくなるじゃありませんか!これがまた優美で、かつ二つの楽器による対話になっており、もともとピアノ1台用だったなんて思えません。さすが作曲者自身の編曲です。

そして、「小さなソナタ」である作品10。6曲からなる小品集の意味合いが強い作品です。二つの作品の成立年代には6年の差がありますが(作品39が1816年、作品10が1810年)、基本的に流麗な点は何ら変わりないのです。作曲できる規模が変わった、という印象です。

ですので、二つの作品にさほど月日の差を感じないんです。しかもです、「大きいソナタ」はもともとはピアノ・ソナタ。いやあ、ウェーバーって本当に才能豊かだったんだなあと思うと同時に、この二つの作品がかかれた時期は、ベートーヴェンの中期様式で、古典派交響曲が頂点を極めた時代なのです。

そんな時代に、ロマンティックなソナタ二つ。19世紀入りたてという時代は、なんと混迷かつ新しいものと古いものが同居し、それぞれに巨匠が出た時代だったかを感じます。古典派ではベートーヴェン、そしてロマン派ではウェーバー、そしてシューベルト。楽しい時代だったろうと思います(社会は大変な時代でしたけど)。

演奏するのは、フルートがパユ、ピアノがサジュ。ともにステディかつ生き生きとした演奏で、思わず体が動いてしまいます。二人とも、作品を楽しんでおり、まるでその世界の中で遊んでいるかのよう。それは作品への共感でもあるでしょうし、また彼らの作品から受けるインスピレーションの表現でもあろうと思います。その「遊び方」がこちらも楽しくなるんです。痛快活気持ちいい!

こういうとき、本当にフランスのアーティストたちは素晴らしいパフォーマンスをしますね。本当に期待を裏切りません。ウェーバーというベートーヴェンと同じ時代を生きた「新しい才能」を、存分に楽しむことができます。

 


聴いている音源
カール・マリア・フォン・ウェーバー作曲
フルート・ソナタ 変イ長調作品39
6つのソナタ 作品10
エマニュエル・パユ(フルート)
エリク・ル・サジュ(ピアノ)

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