かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ショスタコーヴィチの「ジャズ組曲」

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はショスタコーヴィチのジャズ組曲を収録したアルバムをご紹介します。

旧ソ連でジャズ?と思うのが普通なのではないでしょうか。ただ、この作品の存在は私はずいぶん前から知っており、おそらく2000年代に入ったあたりから知っていたと思います。まだSNSなどない時代、メーリングリスト全盛の時代に、クラシック系の某とんでもグループに所属していて、そこで教えていただいたのがこの組曲です。

そこはまあいろいろ問題はありましたけれど、ショスタコーヴィチが映画音楽を数多く手がけたこと、そしてジャズ組曲を作曲したことを教えてもらった場でもありました。20世紀最後の数年は、そんな発見の毎日だったように思います。

そこからウン年、CDでの演奏ではようやく神奈川県立図書館で見つけたのが、今回ご紹介するアルバムです。録音年代からすると、教えていただいたときに神奈川県立図書館へ行くことをしていたら、もっと早く出会えた可能性があったことが、悔やまれることでしょうか・・・・・

さて、ジャズ組曲ですが、実はアメリカのジャズという感じではなく、それも含めたダンスミュージックという意味合いが強い作品です。

ja.wikipedia.org

ウィキではバンド演奏が念頭という表現もありますが、ほぼオーケストラ演奏用の作品です。まあ、バンドでもできる、という感じでしょうか。第1組曲のほうがよりバンドで演奏する用途に近く、第2組曲はむしろオーケストラ伴奏が念頭にあるような作品だと思いますが、いずれにしても、二つとも肩の凝らない作品であることには代わりありません。

がしかし、第2組曲には哀愁漂う部分もあり、その意味ではショスタコーヴィチはかなりアメリカ音楽を研究して作曲したであろうと想像できる音楽でもあります。そのあたりを、この演奏は逆に全く考慮せず、純然たる管弦楽作品として演奏しているのが特徴です。

指揮はシャイーですから、指揮者として申し分ないわけですし、オケもいわゆるアムステルダム・コンセルトヘボウ(録音当時はすでにロイヤル・コンセルトヘボウですが)なのでこれも申し分なし。なのでアンサンブルといい、サウンドと言い、素晴らしいのですけれど、ノリ、という点で言えば、正直言えば第2組曲は録音のある長田雅人指揮オーケストラ・ダスビダーニャのほうを私は推します。本当にロイヤル・コンセルトヘボウは乗れていないんですよ・・・・・それは本当に残念。

ダンスミュージックであるならば、やはりノリの良さを追求するほうがいいと思いますし、むしろすべきだと私は思います。けれどシャイーはあくまでも管弦楽作品としてアプローチしているんです。それはそれで面白いですし、それでも作品の素晴らしさには変わりないんですが、しかしそれでは、作品の真の意味まで掬い取っていないんじゃないの?と私は思うんです。

ソ連当局に監視されつつも、ショスタコーヴィチは祖国の国民のために作品を紡いだわけです。楽しく踊ってほしいなと願ったわけです。その願いはどうでもいいの?と思うわけなんですよ。

もし、ショスタコーヴィチがまだ存命で、ラップだとかフリースタイルだとかに触れていたら、一体どんな作品を紡いだんだろうと思うんです。そういう視座がないのがちょっと残念です。もちろん、元で使っていた作品があるので、それを考慮したということもあるでしょうし、それはそれで一つの視座です。ですがなぜショスタコーヴィチはジャズ組曲へと紡ぎなおしたのかというっ考察が見える演奏だったら、なおよかったなあと思います。その考察がしっかりある演奏こそ、オーケストラ・ダスビダーニャの演奏であり、そんな演奏ができるオーケストラが我が国にあり、しかもアマチュアオケである、ということは、我が国が誇るべき文化財なのではないかと、この演奏を聴きますと改めて思うのです。

ダスビの定演が、来年無事開催されんことを・・・・・

 


聴いている音源
ドミトリー・ショスタコーヴィチ作曲
ジャズ組曲第1番(1934)
ピアノ協奏曲第1番ハ短調作品35
ジャズ組曲第2番(プロムナード・オーケストラのための)
タヒチ・トロット(二人でお茶を)
ロナルド・ブラウティガム(ピアノ)
ペーター・マスーズ(トランペット)
リッカルド・シャイ―指揮
ロイヤル・コンセルトへボウ管弦楽団

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