かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:コッペリア 全曲

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はドリーブ作曲のバレエ「コッペリア」全曲をとりあげます。

元音源はナクソスだったと思います。2枚組。結構長い曲かなあと思ったらそうでもなくて、1時間30分ほど。あっという間に時間が過ぎていきます。

とっても有名な曲、「コッペリア」。ですが、大抵第1幕の最初あたりしかコンサートでは演奏されることがない作品でもあります。むしろアンコールで聴いたことある!という方、多いのではないでしょうか。

そんな「コッペリア」を、全曲聴いてみようというのが、この時借りた趣旨でした。そして今回、2枚組なんですが一つとして取り上げます。

そもそも、「コッペリア」ってどんな曲?って思う人、多いのではないでしょうか。結構交響曲好きな人って、バレエはほとんど「見ません」からね・・・・・当然ですが、音楽すら全部聴く人も、クラシックファンの中では少数派ということになるかと思います。

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どうでしょう?上記ウィキの解説を読んで、意外に思った方、多いのではないでしょうか。結構ファンタジー要素が詰まった、まるでディズニーか宮崎アニメのような物語だと感じた方も多いのではないでしょうか。私としてはジブリアニメ(特に宮崎駿監督作品)に近い感覚を持っています。そもそも、宮崎作品が、歴史的にいろんな物語の影響を受けていますからね。

宮崎駿作品で言えば、「魔女の宅急便」や「平成狸合戦ぽんぽこ」のような諧謔性の中に風刺が詰まった作品に近いように思われるのが、この「コッペリア」です。一言で言えば、ポーランドの田舎における男女の間の嫉妬の物語、ですよこれ。面白おかしい作品なのですが、音楽としてはかなりまじめなものがたくさん聞くことができますし、ご丁寧にマズルカが結構出てきます。それは「コッペリア」の舞台がポーランドだからです。

ドリーブはバレエというよりは、オペラを数多く手がけた作曲家です。なのでストーリー性は大切にしたはずなのですが、この「コッペリア」では、ある意味ドタバタ喜劇をバレエにもちこんで、楽しませるということをやってのけています。

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そう、このバレエ、ドタバタ喜劇なのです。ドリフのコントと同じですし、後世の「ダダイズム」にも通じる内容なんです。ということは・・・・・そう、反体制という意味合いも、持っているはずだと私は考えています。そこが、フランスにおいて「フランス・バレエ音楽の父」と呼ばれる所以ではないかなあと思っています。

徹底的に繊細で美しい音楽なのですが、しかしそれがどんな場面で使われているのかを知ると、その繊細さと優美さにこそ、ドリーブは意味を込めた、ということになるのです。それが実際に音楽を聴くと明確に浮かび上がります。スワニルダとフランツがコッペリウス博士の家へ忍び込み、コッペリアが何者であるかを探索しようとする場面のなんとシリアスなことか!しかもかなーり大げさに。音楽だけを聴くとナニコレ?って思うこともありますが、その音楽がどんな場面で使われているのかを知ると違うというのは、そのシーンに集約されているように思います。

そう考えると、ドイツ音楽だけで精神性とかいう事の、なんと不毛なことか!表現には様々ある・・・・・「コッペリア」を聴きますと、強く考えさせられます。とっても楽しいので!

演奏はボニング指揮ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団。何どこのオケだ?と思えばなんとイギリス!録音専門のオケだそうで、ウィキでは記述がないですが、意外とコロンビア交響楽団のような存在かもしれません。そうそうたる指揮者たちが振っている名門オケだといえるでしょう。映画のサントラも数多く担当しているので、どこかでそのサウンドとアンサンブルを聴いたことがある人はクラシック・ファン以外でも多いかもしれません。

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なるほど、ナクソス採用オケにしてはやけにうますぎる!とは思って聴いていたんですが、なるほど、バレエ音楽には慣れているというわけなのですね~。生き生きとしていてつい体が動いてしまいます。聴いていて、おそらくオケの団員たちが気持ちよく、そして楽しく演奏しているのが目に浮かぶようなのです。それは結果的に、作品のドタバタぶりを私たちに明確に伝えてくれますし、そのドタバタぶりを存分に楽しんで!というオケや指揮者からのメッセージのようにすら感じられるのです。こういう演奏をするオケが、日本でもたくさんあるといいなあと思います。

 


聴いている音源
クレマン・フィリベール・レオ・ドリーブ作曲
バレエ音楽コッペリア」全曲
シドニー・サックス(ソロ・ヴァイオリン)
フレデリック・リトル(ソロ・ヴィオラ
トーマス・ケリー(ソロ・クラリネット
リチャード・ボニング指揮
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団

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