かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:細川俊夫 フルート作品集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は細川俊夫のフルート作品集のアルバムをご紹介します。

元音源はナクソスです。検索すればすぐ出てきます。けれども・・・・・

肝心の細川氏を全く知らないわけ、なのです。これも名前だけは知っているけれども・・・・・という作曲家の一人です。なので、聴きたいという気持ちだけは持っていました。

さて、フルート作品集と言っても、正確に言えば「フルートを使った作品集」だろうと思います。しかも細川氏はいわゆる現代音楽(私の基準であれば「20世紀音楽」)の作曲家。不協和音バリバリの作品であるはず、なのですが・・・・・

いきなり流れてくるのは、尺八の音色。あれ、誰が尺八拭いているのだろうとクレジットを見てみても、尺八は載っていません。実は、フルートを尺八のように使っているため、実はわからなかったのです。

本来は、収録作品すべての解説をすれば親切だと思うのですが、とりあえず如何にURLだけを曲順で載せておきますので、ぜひ参照してみてください。今回、そんな各曲の解説をしても無駄だと判断したのです。

www.muramatsuflute.com

線 I/細川俊夫/SJ 1076shop.schottjapan.com

リート/細川俊夫/SJ 1166shop.schottjapan.com

断章 II/細川俊夫/SJ 1135shop.schottjapan.com

schottjapan.com


(中段辺りにあります)

suisse.exblog.jp

黒川氏と対極にいるのが、私は伊福部だと思っています。同じく日本の音楽を題材にしているところは一緒なのですが、細川氏はあくまでも20世紀音楽の一つとして日本風の音楽を作り上げていますけれど、伊福部は日本の「民俗音楽」を題材にしたという点で「新古典主義音楽」の作曲家だと言ってもいいからです。

もっとわかりやすく言えば、伊福部の音楽は19世紀~20世紀に留まっていますが、細川氏は20世紀の音楽、なのです。この差は大きいと思っています。実際、上記のサイトのほとんどがショット社であるのをお気づきでしょうか?それほど、細川氏の音楽はとても日本なのですが実際に評価されているのは海外です。

一方、伊福部は最近ようやく海外で評価され始めましたが、とにかくゴジラの音楽でなじみある作曲家です。そしてむしろ、伊福部の土臭い芸術のほうが好まれている傾向があるように思います。

このように、細川氏と伊福部とは音楽が異なるのですが、それは当然で、音大を出ていない伊福部に対し、細川氏は国立音大を中退後ドイツへ渡り現地の音大を卒業、作曲活動に入っているのです。

ja.wikipedia.org

私としては、細川氏の音楽は伊福部とは異なるのに、伊福部の師チェレプニンの言葉「グローバルたれば、真にローカルたれ」をまさに体現しているとも思えるのです。これは面白いなと思います。こういう音楽を聴きますと、ほんとに「日本すごい!」なんて番組は陳腐に見えます。見たくもありません。たいてい、メディアは伊福部にしても細川氏にしても、とり上げなさすぎですから。

最後の黒田節は、細川氏によってさまざまな編曲がありますが、ここではフルートのみのものが採用されています。それを聴くとフルートはまさに尺八のように使われています。

演奏するフルーティスト、ビャルナソンは実は尺八もふける人。道理でと思います。室内アンサンブルとの相性も抜群のように思われます。少なくとも指揮者とソリストには日本人がいないのに、どう聴いても日本を感じる演奏になっているのも素晴らしい点です。これは細川氏が、現代音楽という枠の中で、日本風の音楽でも十分表現として可能であることを示したからだといえるのではないでしょうか。ゆえに、「日本すごい!」なんて番組を見る必要はないのです。メディアが細川氏の芸術をしっかりとり上げればいいだけ、なのです。

その意味では、ナクソスがずっと日本人作曲家を左右問わず取り上げていることは、まさに有意義なことだと思います。まさにナクソス音楽出版という手法によりメディアとしての役割を果たしている、と言えるでしょう。

 


聴いている音源
細川俊夫作曲
①垂直の歌Ⅰ(1995)
②線Ⅰ(1984
③リート(2007)
④断章Ⅱ(1989)
⑤旅Ⅴ(2001)
⑥アルト・フルートのための黒田節(2004)
コルペイン・ビャルナソン(フルート、アルト・フルート)
スノッリ・シグフース・ビルギソン指揮(⑤)
カプト・アンサンブル(③~⑤)
独奏メンバー
 ヴァルゲルス・アンドリェスドウィッティル(ピアノ③・⑤)
 シフ・トゥルニウス(ヴァイオリン④・⑤)
 ズビグネフ・ドビク(ヴァイオリン④・⑤)
 ソウルン・オウスク・マーリノウスドウィッティル(ヴィオラ④・⑤)
 ブリュンディース・ビュオグヴィンスドウィッティル(チェロ④)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。