かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ワルトトイフェル ワルツ集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は元音源ナクソスの、ワルトトイフェル名曲集をとりあげます。実際には、ワルトトイフェルのワルツ集です。

ワルトトイフェルという作曲家を知っているという人は少ないと思います。がしかし、曲は圧倒的に知っているという人は多いと思います。特に、都市部よりは地方の、寒い氷が張る地域で、スケートが盛んなところでは。

その曲こそ、このアルバムの第1曲目である、スケーターズ・ワルツです。こーおーりを~す~べ~るよ~♪とうたったことも多いのではないでしょうか。何しろ、文科省の音楽の教科書に載っていますから。

ja.wikipedia.org

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私も、スケート場というとこの曲がかかっているというイメージですし、じっさいにかかっていたことがありますし、競技スケートであるフィギアスケートでも、その音楽として昔は選択する選手もいたくらいです。

ですが、スケートというスポーツ、あるいは遊びだけで食える作曲家などいませんから、当然ワルトトイフェルの作品の一つに過ぎないだけなのですけれど、これしか知られていないので華麗なる一発屋と私たちは見がちなのです。けれどもそんなことはないぞ、というのがこのアルバムの趣旨です。

実際、ウィキでは「女学生」のほうが有名という記述すらありますし、特に私など、ワルトトイフェルを知らなすぎだなあと、聴くたびに思います。けれど、聴いていると一つの和声の型があり、その典型がスケーターズ・ワルツなんだとわかります。まあ、後期ロマン派までって、そういう「型」が好まれた時代でもあります。

特に、ワルトトイフェルはフランスのアンシャン・レジームから共和制へと移る時代において、後期ロマン派という時代の寵児だったともいえます。ある意味、ワルトトイフェルという作曲家の作品に多く振れることによって、ああ、ヨーロッパの19世紀という時代はこうだったんだとわかる側面すらあります。市民革命によって確かに政治は変わりましたが、社会がそれほど変わったわけではなかった、ということです。それが20世紀に入って、共産主義を生んでいく・・・・・ブルジョワジーというものは、王政から共和制になっても変らなかったわけですし、ブルジョワジーの内容が変わっただけ、です。

これ、多分わからない人が多いように思うんです。でも、ワルトトイフェルの作品がなぜ政治制度が変わっても好まれ続けたのかを理解するには、市民革命と社会の変化の具合を考えないと無理なのです。そしてなぜ、現在のフランスでワルトトイフェルが必ずしも演奏頻度が高くないのかも、そこから浮かび上がります。ウィキにある通り、まさに時代に取り残されたわけなので、演奏頻度が下がった、と言えるわけです。

とはいえ、音楽は押しなべて華麗で、楽しい気分にさせてくれます。その意味ではまさに当時の上流社会に受ける作風だったといえます。ということは、今の日本って・・・・・・そう考えると、面白いと思います。私たちがメディアやネットで刷り込まれている「左寄り」「左巻き」の社会なんて嘘っぱちである、ということです。十分右寄りです。刷り込みって本当に怖いですねえ。

演奏するのは、スロヴァキアのオケ、スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団。こういうオケを採用するのはナクソスらしいです。ナクソスってスロヴァキアのオケ好きですよね~。まあ、実際に実力もしっかりあるので、聴いていて楽しいですし、また音もいいんですよこれ。しかも豊潤。「フランスものにはドイツ圏のオケ」とはよく言いますが、まさにその法則ばっちし!ワルトトイフェルという作曲家の出自が音楽にかんけいしているのかまではわかりませんが、ドイツ的なかっちりした部分と、フランスの上品な感じがブレンドされたような音楽には、スロヴァキアのオケがぴったりなのかもしれません。

 


聴いている音源
エミール・ワルトトイフェル作曲
スケーターズ・ワルツ作品183
ワルツ「とても可愛い」作品159
ワルツ「女学生」作品191
ワルツ「ポモーヌ」作品155
ワルツ「スペイン」作品236
ワルツ「ひとりぼっち」作品174
ワルツ「シレーヌ」作品154
ワルツ「ダイヤモンドの雨」(別名「金の雨」)作品160
ワルツ「私の夢」作品151
ルフレート・ヴァルター指揮
スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。