かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:グリーグ 室内楽作品全集3

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、グリーグ室内楽全集をとりあげていますが、今回はその第3集です。

最後の第3集には、弦楽四重奏曲が登場します。生前に完成した第1番と、未完成で残された第2番が収録されています。

ja.wikipedia.org

正確にはグリーグ弦楽四重奏曲を3曲書いたそうで、うち1曲は破棄されてしまったため、現在残されているのは2曲。そのうち、完成されているのが、第1番のみ、ということになります。

このアルバムでは、第2番は補筆されてはいないようで、第2楽章で終わっています。そのため、第1番の完成度が際立っていますけれど、実際には第2番も驚く展開などがあり、十分な風格を讃えています。完成していたらどんなにわくわくする作品になっていただろうと考えますと、ちょっと残念です。

まず第1番はその完成度が高く、自らの作品から旋律を採って展開するというのはどこかバロック音楽を彷彿とさせますが、和声的には極めて後期ロマン派で、かつ国民楽派だといえましょう。ウィキでは切れ目なくとなっていますが、実際には楽章ごとにほんの少しの休みを取って移っています。それはこの演奏の特徴なのかもしれませんが・・・・・少なくとも、第1楽章と第2楽章には切れ目があるように聴こえます。

第2番も同じように楽章ごとは切れ目があるように聴こえますが、それぞれ、実はその楽章の中でいくつかに分かれており、それは切れ目ないように演奏されます。それとウィキのほうが間違っている可能性もあるかな?と思います。何せウィキですから・・・・・100%信用はしないほうがいいでしょう。

演奏するソリストたちは、普段は別々ですがここでは弦楽四重奏団を結成してアンサンブルしています。では団名は?ないです。とにかく弦楽四重奏をアンサンブルするソリスト、ということです。これは以前シューベルトピアノ五重奏曲「ます」でもあった編成ですが、実にしっくりくるのがさすがです。プロだからあたりまえとは言え、会話をしながらもそれぞれが対等にアンサンブルすることによる作品の物語性や歌謡性がしっかりと浮かび上がり、内面性が私たちに提示されているのはさすがとしか言いようがありません。これぞプロの仕事。

こういった安定した演奏を、不確定要素が強い現在で聴くのはホッとする瞬間でもあります。やれ新規感染者がどうの、東京アラートだの、いい加減弱者にしっかり金出して休ませろよって言いたいストレスでいっぱいなところに、こういったステディかつ生命力ある演奏を聴きますと、幾分ストレスが軽減されるような気がします。ぜひとも早くこういった室内楽は演奏が許可されてほしいものです。

 


聴いている音源
エドゥアルド・グリーグ作曲
弦楽四重奏曲第1番ト短調作品27
弦楽四重奏曲第2番ヘ長調(未完)
アレクサンドル・チェルノフ(第1ヴァイオリン)
イリーナ・ポポワ(第2ヴァイオリン)
イーゴリ・ボグスラフスキー(ヴィオラ
アレクサンドル・ルーディン(チェロ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。