かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:チャイコフスキー 弦楽四重奏曲全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から2回にわたってチャイコフスキー弦楽四重奏曲全集を取り上げます。

実は、一度チャイコフスキー弦楽四重奏曲は、全曲を集めようと思ったことがあります。一度ナクソスの音源をご紹介した時のがそれです。

マイ・コレクション:チャイコフスキー 弦楽四重奏曲全集第1集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/905

ところが、まてどくらせど第2集を見つけることができなかったのです・・・・・

そのため、じゃあいっそ図書館で借りてしまおうと、借りてきたのが今回から2回にわたってご紹介する音源になります。「有名曲を図書館で借り、あまり知られていない作品を店頭で買う」という、当時の私の原則にもかなっていましたし。

ということで、この第1集はナクソス音源との聴き比べのようになってしまいます。が、それでも強調しておきたいことがあります。

チャイコフスキー弦楽四重奏曲と言えば、第1番が圧倒的に人気で、特に日本ではその傾向が強いかと思います。第2楽章が管弦楽編曲されているという事もあるのでしょう。

弦楽四重奏曲第1番 (チャイコフスキー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC)

しかし、私としては、第2番のほうが好きです。チャイコフスキーらしいメロディアスな旋律、がっちりと4つの楽器が対等にアンサンブルする構造は、第1番も素晴らしいのですが第2番はさらに洗練され、チャイコフスキーの情熱が伝わってきます。

弦楽四重奏曲第2番 (チャイコフスキー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%9B%E9%87%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC)

特に、第2楽章の諧謔的で上品なメロディは、どこか暖かく、ほっとする部分だと思います。その意味では、古典的な弦楽四重奏曲らしい楽章だと言えます。

この二つの作品を、演奏しているサンクトペテルスブルク・フィルハーモ二―四重奏団は実にアグレッシヴというか、積極性をもって演奏しています。第1番は第2楽章の存在があるせいなのか、第1楽章を大事に行くところを、ややアグレッシヴに行きます。冒頭はやはり少し静かに入りますが、演奏が進むにつれてアインザッツは強烈になり、リズム感がはっきりとしており、第1番はこれほど生き生きとした作品だったのかと私たちに気づかせてくれます。

第2番もアインザッツの強さは変わらず、でも激しくはなく、作品を生き生きと演奏するための方策としています。ですから、第1番以上に生命力があり、むしろ演奏者達は第2番の方を高く評価しているのだなと感じることができます。

そう、ウィキにもありましたが、チャイコフスキー自身が第2番を高く評価しているということは、あまり知られていないのではないかと思います。例えば、ピアノ協奏曲にしても、第1番よりは第2番の方をチャイコフスキーは高く評価していますが、日本では第1番以外聴かれることも、演奏されることもありません。むしろ未完におわった交響曲第7番の第1楽章を転用した、第3番の方が有名なくらいです。しかし、第2番第2楽章のオケのヴァイオリンとピアノとのかけ合いは、オケ伴奏のヴァイオリン・ソナタと言ってもいい独創的なもので、バロック期の合奏協奏曲を彷彿とさせる素晴らしい作品です。

そういった質の高さが、弦楽四重奏曲第2番でもあるにも関わらず、あまり人気がないという点に、演奏者達が問題意識を持っていると言う印象を演奏からは受けます。これだけ生き生きとしている作品なのに・・・・・そんな声が聞えて来そうです。

ナクソスの演奏は、ただ単に寂しさだけが強調される演奏なのですが、この演奏では寂しさというのは、人間が持つ普通の感情だよねという、当たり前なのですがその当たり前がきちんと表現され、この作品は寂しさだけではないよと教えてくれます。演奏としては断然こちらが上で、棚がいっぱいになってきている現状では、既に持っているナクソスを放出してもいいかな〜と思わせるだけの説得力を持っています。

こういった演奏に出会うのは幸せです。大抵、初めに聴いた演奏をいいと思ってしまうものなのです、人間は。それでも、初めに聴いた演奏を覆す演奏に出会うことは本当に稀で、こんな稀なことに出会ったことに感謝したいと思います。




聴いている音源
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー作曲
弦楽四重奏曲第1番ニ長調作品11
弦楽四重奏曲第2番ヘ長調作品22
サンクトペテルスブルク・フィルハーモ二―四重奏団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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