かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:リスト ピアノ作品全集53

今月のお買いもの、令和2(2020)年3月に購入したものをご紹介します。ナクソスから出ているリストのピアノ作品全集の第53集です。e-onkyoネットストアでの購入です。

この第53集は、リストの若き日の作品である「詩的で宗教的な調べ」が再録されています。これは以前第3集と第4集でフィリップ・トンプソンの演奏でも収録されており、それを「神奈川県立図書館所蔵CD」のコーナーで取り上げていますが、その時は二つのCDに分けて収録され、途中にカップリングも入ったアルバムとなっていました。

それをこの第53集では、「詩的で宗教的な調べ」のみをピックアップし、かつ成立の変遷までを聴かせるという意欲的なアルバムとなっています。というのは、収録されているのはS174ではなく、S154だからです。

ja.wikipedia.org

これを聴きますと、あ、これどこかで聞いているなという旋律がたくさんあります。つまり、リストは旋律のストックをたくさん持っており、それをほかの作品へも転用するということをやっているんです。これは目からうろこなアルバムです。バロック的なことをリストもやっていたんだなあ、と。

そりゃあ、リストが生きた時代を考えれば、さもありなんと思います。リストが活躍していた時代は、モーツァルトの後とは言え、わずか週十年ほどしか経っていないんですから。

このS154を聴いても、本当にリストの美しいピアニズムと、そこに見え隠れする魂はほれぼれします。リストの才能が若いころからしっかり発露されていたことを物語るもので、聴いていて本当にうっとりしますし、また癒されもします。

このアルバムでは弾いているのは第3集と第4集とは変わって、ヴォイチェフ・ヴァレチェク。決して急ぎすぎず、いいテンポで音を紡いでいく様子は聴いていて爽快ですし、また沈思させてくれるもので、私好み。それを96kHz/24bitのハイレゾで聴く喜び。最初の一音でCDよりは臨場感のある、ホールの空気を感じる音場は、賃貸アパートであるにも関わらず、このステイホームの時期にまるでホールにいるかのような錯覚を起こさせてくれます。

こういうときにこそ、ハイレゾは威力を発揮するなあと思います。

 


聴いている音源
フランツ・リスト作曲
詩的で宗教的な調べS154/R13
ヴォイチェフ・ヴァレチェク(ピアノ)
(Naxos 8.573773)

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