かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:リスト ピアノ曲全集52

今月のお買いもの、令和元年11月に購入したものをご紹介しています。今回はe-onkyoで購入したハイレゾナクソスのリストピアノ曲全集の第52集を取り上げます。

この第52集はほぼ最新のもの。ようやく追いついたとは思いますが、歯抜けで追いついたので・・・・・できれば、抜けているのの再販をお願いしたいですね。あるいは、音盤組合にCD買いに行くかですが・・・・・棚はもうないですしね。そろそろ持っているCDをflacリッピングして売り払う時期が来ているのかもしれません。

さて、この第52集ですが、その最近のアルバムはオーベールとヴェルディのオペラをピアノ曲としてトランスクリプションしたもの。これも前回取り上げたように声楽部分も入っているため、ヴィルトォーソ・リストを体現するのに格好の材料だったことでしょう。けれども聴いていて気が付くのは、そんなヴィルトォーソな作品なのに、どこかカンタービレする部分もあるってことです。

その微妙なバランスの美しさが、これらのトランスクリプションの魅力なのかもしれません。第1曲と第2曲はそれぞれオーベールの同じ題材をトランスクリプションしたものを並べてみたもの。どちらがいいとは私は断定できず、どちらもいいなあと思います。これは聴き手にゆだねられているのではないでしょうか。

それ以外も、そもそものオペラから素材を取り、リストの世界も表現しているもので、ピアノ一つでどれだけのことができるかという、リストの理想主義のようなものを感じます。

それにしてもです、オーベールって、私も多分初めて聴いた名前です。ちょうどリストが生きた時代の売れっ子作曲家で、グランド・オペラだったがゆえに、現在では忘れられかけている作曲家です。

ja.wikipedia.org

もちろん、聴衆が求めたからリストもとり上げたという点はあったのでしょうが、ワーグナーを評価しつつこういった前時代的な作曲家も取り上げる点に、リストの寛容な意思を感じます。いい音楽は差別をしない、そんなリストの意思です。

それに共感しているのが、演奏するウォン・ワイインではないでしょうか。解説などが添付されていないので詳しいことはわかりませんが、明らかに中国人であるこのピアニスト、そのリストの寛容さに共感して、のびのびと、いや、堂々とそして生き生きと演奏しているのが魅力です。華麗なという意味の「ブラヴーラ」の名がついた作品も、そしてチロル風という意味の「ティロリエンヌ」も、本当に情熱的な演奏!それでいて、端正さも兼ね備えるという才能は、まさにリストを弾くのにぴったりだと思います。

たまにはそれはどうかな~ってソリストが来ることもありますが、ほぼナクソスで演奏者が外れることって少ないです。このワイインもそんな一人。自在な表現は本当に素晴らしい!日本人演奏家もぜひともリストのトランスクリプションの演奏に挑戦してほしいものです。

 


聴いているハイレゾ
フランツ・リスト作曲
オーベールの歌劇「ポルティチの唖娘」によるブラヴーラ風タランテラS386/R11(第1稿、第2稿)
ヴェルディの歌劇「第1回十字軍のロンバルディア人」よりイェルサレムのサルヴェ・レジーナS431/R264(第2稿)
オーベールの歌劇「ポルティチの唖娘」の主題による3つの小品S387/R118 1.序曲2.カヴァティーナ(子守歌)
ヴェルディの歌劇「エルナーニ」の主題による演奏会用パラフレーズS431a/R293
オーベールの歌劇「許婚」よりティロリエンヌのメロディS385a
オーベールの歌劇「許婚」のティロリエンヌによる大幻想曲S385/R116(第1稿、第2稿)
ウォン・ワイイン(ピアノ)
(Naxos 8.573714)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。