かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン ピアノ・ソナタ全集3

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでハイドンのピアノ・ソナタを取り上げていますが、今回はその第3集を取り上げます。

この第3集では、偽作とされている作品は飛ばしているにもかかわらず、ウィキでは偽作とされている2つの作品が収録されています。第20番と第30番(番号はランドン版)です。

ja.wikipedia.org

こういう時に役に立つのが、ピアノコンクールなどを手掛けるピティナです。ピティナで検索してみるとこの二つの作品を偽作とはしていないんです。

enc.piano.or.jp

enc.piano.or.jp

しかも意外なことに、ピティナは番号はランドン版を採用しながらも、それに批判的である、ということです。その最たるものが第20番で、ウィキが成立年不明としたのを退け、1788年の作品と位置付けています。一方で第30番は1767年と、これはウィキと一緒です。

となると、なぜにオルベルツが取り上げているかが明確になります。本来、ランドン版であればもっと多い番号が振られて当然な作品であると、第20番に関しては言えます。一方で第30番は、収録されている作品たちとそれほど遠くない時期の作品だということになります。

これをオルベルツはどのように考えたのかと思ってしまいますが、彼は以下のピティナとおなじスタンスなのではないかと思います。つまりこの二つの作品に関しては、意外にも偽作ではないのではないか、ということです。真作とまでは断定できないが、この二つに関しては真作の可能性があると考えている、ということです。

enc.piano.or.jp

特に、第30番はよくできているんです。その仕上がり具合を見たときに、無名の作曲家?という意識がオルベルツにあったと私は推測します。そうじゃないと、この二つがほかの真作と言われているものと一緒になっていることが説明付きません。

後半の3曲は、ハイドン真作と言われており、第33番はハイドンピアノ曲のなかでもエポックメイキングな作品ですし、第36番と第37番は作品13としてまとまって出版されています。

それらを、オルベルツは本当に愛しく弾いています。慈しみ深くといったほうがいいのかもしれません。ただ弾いているではなく、タッチの微妙な差、アコーギクのつけ方など、愛しているのが本当にわかります。そしてもしかするとチェンバロ用かもしれない作品を、ピアノで自在に弾いてみたとき、また新しい地平が広がっていることも占めているのも素晴らしいです。こういった仕事こそ、プロだとおもいます。

 


聴いている音源
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン作曲
ピアノ・ソナタ第20番変ロ長調Hob.XVI-18 作品53-3
ピアノ・ソナタ第30番ニ長調Hob.XVI-19 作品53-2
ピアノ・ソナタ第33番ハ短調Hob.XVI-20 作品30-6
ピアノ・ソナタ第36番ハ長調Hob.XVI-21 作品13-1
ピアノ・ソナタ第37番ホ長調Hob.XVI-22 作品13-2
ヴァルター・オルベルツ(ピアノ)
※第20番と第30番のホーボーケン番号は、収録当時のものに従っています。現在ではピティナの標記の方に変わっています。

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。