かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:リスト ピアノ作品全集25

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、元音源ナクソスの、リスト、ピアノ作品全集を取り上げてますが、今回はその第25集を取り上げます。

第25集は、ヴェルディの演奏会用パラフーレズと編曲が収められていますが、注目なのは、パラフレーズです。

パラフレーズとは、ある元の言葉を、他の言葉などで言い換えることです。音楽では、ウィキを引用しますと、「元の作品を別のスタイルの文脈の中で改訂・変換すること」です。

パラフレーズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BA

音楽のパラフレーズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BA#.E9.9F.B3.E6.A5.BD.E3.81.AE.E3.83.91.E3.83.A9.E3.83.95.E3.83.AC.E3.83.BC.E3.82.BA

その結果、本来トランスクリプションや編曲では、リストらしさは控えめになりますが、このパラフレーズでは思いっきりリストらしさが出ており、元々リストの作曲であったのかと見まごうくらいです。

トランスクリプションである、「「エルサレム」(第1回十字軍のロンバルディア人)より サルヴェ・マリア」も、ヴェルディというよりはリストの交響詩のような雰囲気を湛えており、私たちが知るリストとは違った顔をのぞかせています。

要するに、リストとは、ある意味ロマン派に生まれた、バロックの作曲家のようなものだったのです。すでにロマン派では作曲家は自立し始めており、職人とは言い難い職業へと変化しつつありましたが、それでも、バッハなど、バロックの作曲家のように、演奏もし、其れゆえに作曲もする、だから時として作品のレヴェルは高くなるという事になり、リストの時代は時としてではなく、殆ど全てとなり、それが「超絶技巧」と言われる様相を示していくわけです。

リストという作曲家を、革新者という点で見れば、確かに交響詩の父です。一方、このようなトランスクリプションやパラフレーズを聴きますと、バロック以来の伝統が息づいているのも判るのです。その伝統が時代に合わせて、違った様相を見せているだけです。

ヴェルディと言えば、リストよりも少し後に活躍するオペラ作曲家です。この全集の中では、ロッシーニがすでにトランスクリプションとして挙げられていますが、リストがオペラにも関心を持っていたことがよく分かります。ロッシーニヴェルディと言えば、イタリアを代表するオペラ作曲家です。その上で、二人とも宗教曲を作曲した人たちでもありました。リストが興味を持っても不思議はないなあと思います。

演奏はと言えば、アレクサンドレ・ドッシンのピアノは宝石のように輝いており、ゆったりとした部分では歌わせ、激しい部分はドラマティックです。ピアノを縦横無尽に使い、リストがヴェルディから霊感を得た世界を十二分に表現しています。聴いていれば当たり前のように聞こえるこれら作品も充分超絶技巧なのですが、完成は1840年代〜70年代までと幅広いため、リストの人生における様々なステージが収録されており、超絶技巧振りもそれぞれ異なるため、意識して弾いているように思います。その上で、天衣無縫に弾くそのピアノの美しさ!

喜び溢れるその演奏は、なんだか得した気分になります。




聴いている音源
フランツ・リスト作曲、編曲
リゴレット(演奏会用パラフレーズ)S434/R267
アイーダ(神前の踊りと終幕の二重唱)S436/R269
トロヴァトーレのミゼレーレS433/R266
エルサレム」(第1回十字軍のロンバルディア人)より サルヴェ・マリア S431/R264
ドン・カルロ」の祝典の合唱と葬送行進曲 S435/R268
シモン・ボッカネグラ」の回想 S438/R271
エルナーニ(演奏会用パラフレーズ)S432/R265
アレクサンドレ・ドッシン(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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