神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から4回シリーズで、アルベニスのピアノ作品集を収録したアルバムをご紹介していきます。
アルベニスという作曲家、多分このブログでは初出かな~って思います。もしかすると何かのカップリングで入っているかもしれませんが・・・・・まあ、それだけあまり知られていない作曲家、でもあるわけなんです。けれどもアルベニスはグラナドスと親友だったり、スペイン音楽の中ではビッグネームです。
そもそもがピアノ曲で有名な人なので、ピアノをやっている人の中では知る人ぞ知るです。とはいえ、私もいろんなピアノ曲を聴いて知った名前です。ピアニストの知人などがいなかったら、アルベニスの作品には一生出会わなかったと思います。
そんなアルベニスのピアノ曲を集めたアルバムの第1集。いきなりスペイン組曲が収録されています。スペイン風もありますが比較的落ち着いた第1番の4曲は、聴いていて落ち着く曲が多いように思います。曲につけられているスペインの都市名から私たちが想像するような情熱的というイメージとは多少異なり、流麗かつ素朴。いい意味で私たちの「スペイン観」を裏切ってくれます。
2曲目が「セレナード・エスパニョール」。リズムががぜんスペイン風ですが、洒脱。その国民楽派風が全く嫌味ないんです。
3曲目は「2つの性格的小品」。これになると多少激しさもありますけれど、やはり洒脱な感じ。多分借りてきたとき、この辺りで完全に魂抜かれていると思います、その芸術性で・・・・・はじける和声!
4曲目が「ラ・ベガ」。沃野という意味。なので美しい野に風が吹き渡るかのような、ほこりっぽいけれど美しいという作品。こういう美しさって、決して嫌いじゃないです、はい。彼女が出来たらぜひとも一緒に聴きたい作品の一つです。
5曲目が「イベリア組曲」第2巻。これも街の名前がそれぞれついており、愛国的な作品ですが、嫌味なし。こういう芸術性って本当に私好きです。なぜ日本って愛国ってなると嫌味たっぷり何でしょうかねえ。多分、保守が自立していないからでしょうね。アルベニスのこういった作品を聴いていると、少なくとも自立した精神を存分に感じるんですよねー。
それを弾いているのが、スペイン人かと思いきや、日本人の上原由記音。この人、FBの「クラシックを聴こう!」にも参加しているピアニストではなかったかと思うんですが、とにかく聴いていると鍵盤のタッチが素敵!それが表現する洒脱さだったり、壮麗さだったり、土俗だったりが生命讃歌となっており、第1集でいきなり魂を奪います。なんとこの人、スペイン音楽のスペシャリストだったんですねえ。
ピアノが雨だれだったり、風だったり、匂いだったり、香りだったり、音だったり・・・・・その場の空気を表現しているかのようです。だからこそ聴いていて生命を感じますし、疲れないんです。かといって秘めた情熱がないのかと言えばそんなこともないですし。いやあ、日本人でも本当に素晴らしいピアニストたくさんいるじゃないの!って思います。是非とも、彼女と一緒に聴きたいアルバムです。
え?彼女いましたけって?いやあ、それは言わないでください・・・・・かわいいとは、職場で言われてますけど。
聴いている音源
イサーク・アルベニス作曲
スペイン組曲(第1集)
①グラナダ T.61A
②カタルーニャ T.61B
③セビーリャ T.61C
④クーバ T.61H
⑤セレナード・エスパニョール T.98
2つの性格的小品 T.94
⑥ホタ・アラゴネーサ T.94A
⑦タンゴ T.94B
⑧ラ・ベガ(沃野) T.102A
組曲「イベリア」(4巻からなる12の新しい印象)第2巻 T.105
⑨ロンデーニャ T.105D
⑩アルメリーア T.105E
⑪トゥリアーナ T.105F
上原由記音(ピアノ)
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