かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ケルビーニ 交響曲と序曲集

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリをご紹介します。ケルビーニの交響曲と序曲を収録したアルバムです。

ケルビーニは以前、レクイエムとミサ曲集を取り上げたことがありますが、ミサ曲集にちょこっと序曲も収録されていたことで、できれば管弦楽作品も聴けるといいなあとずっと思ってきました。

ちょうど時期的には、そろそろCDの棚にいっぱいになってきていて、そろそろCDを買うのも限界だねえと思っていたところでした。そんなところに図書館で見つけたのがこの音源でした。

帰って調べてみると、この音源はレアだということが判明。実は、ケルビーニは交響曲を1曲しか書いていないんです。

ja.wikipedia.org

ウィキには記載がなく、これはレアなので図書館でかりてきたCDのブックレットを珍しく書き写しているのですが、それを参照すると成立は1815年。時期的にはすでにベートーヴェンが第3楽章でスケルツォを使っており、しかもウェーバーなども活躍し始めるという、古典派~前期ロマン派へと移り変わる時代に、第3楽章はメヌエットと古風です。しかしモーツァルトのような平明さを保っているのはさすが(当時の)大御所だと思います。

ほかの3曲のうち、メテオはすでに聴きなれた作品ですし、ほかの2曲は初めてなのに、どこかワクワクもします。確かに様式的には古典派ですしベートーヴェンよりも古いですが、どこかに気品を持つ作品となっています。初演があまり芳しくなかったそうで、それは仕方ないのかなと思います。もうこのころは、ベートーヴェン交響曲ですら古風だと言われる時代です。そんな時期にモーツァルト風のものを出して来たら、そりゃあ、それほど支持はされませんよね。

とはいえ、生命力は十分持っている作品で、演奏しているオケも自然とノリノリになっているように思います。特にシューマンが評価したという、古風なはずの第3楽章では、その生命力がはじけています。どこかスケルツォかと思ってしまうメヌエットですが、ケルビーニの能力の高さを物語るものでもあるでしょう。御年55歳の当時の巨匠が放つ、「時代遅れ」の交響曲。音楽先進地域イタリアで生まれ、同じく先進地域であったフランスはパリで活躍した作曲家だったのだなと、納得してしまいます。

こういった説得力こそ、プロオケらしさだと思うのですが、実はこれ、ウィキで紹介されているトスカニーニではなく、イタリアのオケをイタリア人が振った現代のもの。それゆえにさらに、生命力は文字通り「高解像度」で浮かび上がってくるのです。

 


聴いている音源
ルイジ・ケルビーニ作曲
交響曲ニ長調
歌劇「メデア」序曲
歌劇「アウリデのインフィジェニア」序曲
歌劇「クレッシェンド」序曲
ドナート・レンツェッティ指揮
トスカーナORT管弦楽団

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