東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介します。今回は、サー・マイケル・ティペットの二つの作品を収録したアルバムをご紹介します。
そもそもは、さらにもう一曲、チャールズ皇太子に捧げられた作品が収録されていたアルバムなのですが、この盤では削除されています。ビザンティウムと交響曲第4番が抜き出されて収録されました。その理由はわかりません。
けれども、現在ネットで検索しますと、その完全版のほうがヒットします。
そもそもは、その3つの作品とも、違った機会、違った時期に作曲されたものです。特にビザンティウムはかなり政治的要素が強い作品だといえると思いますが、それゆえに現代音楽している点もポイントです。
そんな作品を指揮するのがショルティで、オケは当然のことながらシカゴ響。このコンビの演奏を、購入したCDや図書館で借りてきたCDなどで幾度聴いたことか。けれども、この演奏では明確なサウンドで私たちに作品が持つ鋭い部分を突き付けてきます。
本来は、こういった現代作品こそ、世界の一流オケの素晴らしいサウンドが楽しめるものだと、最近思うようになりました。某SNSでやれウィーン・フィルだベルリン・フィルだと取り上げているのはいいんですが、そのプログラムときたら・・・・・もちろん、それを演奏すれば素晴らしいものになるに決まっていますが、それでも後期ロマン派のありきたりな作品が並んでいるわけです。
でもそれって、結局我が国の作曲家も含めて、現代音楽には背を向けてしまっています。開館100周年でティペットに委嘱するカーネギーホール。その事実だけでも本当に素晴らしいんですけれど・・・・・では、日本はやっていないのかと言えば、実はしっかりとやっています。話題にならないだけです。つまらん・・・・・それ、ほんとに?
私も、以前は現代音楽などつまらんって思っていたんです。けれども、自分自身が辛い経験をして、再度社会に戻ってきたとき、現代音楽(あるいは20世紀音楽)はすっと私の魂へと入ってきたんです。つまり、それだけ私はおこちゃ〇だったってことなんですよ、ええ。魂のレヴェルで作曲家たちに全く追いついていなかったんです。そりゃあ、避けるよね、と・・・・・・
こういった作品を収録したCDが、しれっと置いてあるんです、府中市立図書館。もちろんこの盤は組曲が抜けているので、コアなファンにとっては評価が分かれる点はあるでしょうが、少なくともシカゴ響やショルティが明晰な解析力と表現力を持っていることは、不協和音が響き渡る作品を明晰に表現することによってその生命を浮かび上がらせる点は高い評価を与えられると私は思います。ソリストも優れた発声ですし、しかもカンタービレしている!現代音楽で、です。本来こういった作品が聴けることが、来日オケの楽しみだと私などは思うのですが・・・・・
聴いている音源
サー・マイケル・ティペット作曲
ビザンティウム(1989)
交響曲第4番(1976~77)
フェイ・ロビンソン(ソプラノ)
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮
シカゴ交響楽団
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