神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はモーツァルトのレクイエムのピアノ独奏版を取り上げます。
このいわゆる「モツレク」の編曲。したのはモーツァルト本人ではなく、むしろベートーヴェンの弟子にあたるチェルニーです。ベートーヴェンの弟子というよりは、ピアノ教則で有名です。
カール・ツェルニー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%83%BC
チェルニー(ツェルニー) 1791-1857 Czerny, Carl
https://enc.piano.or.jp/persons/176
多分、ピアノを演奏する人でも、チェルニーの作品像というのはほとんど知られていないのではないでしょうか。私もこのCDを借りてきたのは、一つにはモーツァルトのレクイエムがピアノ独奏に編曲されるとどうなるのか、そしてその編曲者がチェルニーだとどのようになるのか、という二点の興味からでした。
だって、私もチェルニーの作品をほとんど知らないわけなんですから。ピアノを演奏する人が練習曲を知っていたとして、ピティナで言うように「まだこの巨人のほんの爪の先を見ているにすぎない」わけなのですから、私が知らないのは当然だと言えます。
で、このチェルニーの編曲。聴いていてあれ?って思う部分が散見されます。合唱パートがいくつか端折られているんです。これは元合唱屋で、しかも実際歌ったことがある私としてはうわ〜ですね。けれども、一つのピアノ作品としてみるならば、素晴らしい編曲であり、美しい作品に仕上がっています。
演奏するは小川京子。もう大ベテラン。そして音楽学者海老沢敏さんの奥様でもあります。そんなバックボーンからなのか、小川さんはピアノ曲として向き合っているんです。いやあそこは・・・・・ってうたったことのある私が突っ込もうにも、ピアノ曲らしいアコーギクをつけたりします。そこはやはり、チェルニーの作品を知っているのか知らないのかの差なのだと思うんです。
小川女史はピアニストですから、当然どこかでチェルニーの練習曲ってやっているはずなんですね。一方私はごく普通のアマチュア合唱団員としてのキャリアしかないため、チェルニーの作品に触れる機会すらなかったわけです。差が出るのは当然なんですね。ですので、なるほど〜そうくるか〜という驚きの連続なんです。これ、リストの時よりも半端なく多いです。
それはそれでまた楽しいんです。なるほどチェルニーはそもそもピアニストだもんねえ、と。つまり、この編曲は誠にチェルニーらしさが全開なわけで、小川女史もスコアを見たとき、多分ですけれどクスって笑ってしまったんじゃないでしょうか。あまりにもピアノ曲になっているので。そんなうちに秘めた喜びすら、演奏から伝わってくるんです。そうなるともうこちらとしては降参です。そこはあ、テノールがこう歌ってるからあ、なんてことは通用しません、ピアノ曲なんですからw
そして、ここまでくれば、チェルニーのほかの作品も聴きたくなるのが人情です。特に管弦楽曲や室内楽。さて、棚はもうないし、どうすっか・・・・・小さな棚だけ買ってくっか?うれしい悩みを、小川女史は提供してくれます。
聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
レクイエム ニ短調K626(ジュスマイヤー版、カール・チェルニーによるピアノ独奏用編曲)
小川京子(ピアノ)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
このブログは「にほんブログ村」に参加しています。
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村
にほんブログ村