かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:シベリウス 劇音楽集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回にわたり、シベリウスの劇音楽集を収録したアルバムをご紹介します。

2回ということは当然2枚組ってことになるわけですが、シベリウスの劇音楽は我が国では断片で有名なものがあるものの、全体的にはあまり知られていない作品が多いのではないかと思います。

そんな作品の一つが、「クオレマ」だと思っています。でも、多くのクラシックファンが一度は聴いたことがある作品なのです。「悲しきワルツ」と言えば、あああるある!とうなづくのではないでしょうか。

クオレマ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%AC%E3%83%9E

ただ、全体がひとまとまりになることは少なく、むしろ「悲しきワルツ」単独か、ロマンティック・ワルツ作品62bとカンツォネッタ作品62aなどとの抱き合わせのことが多く、このアルバムでもそのようになっています。

それ以外の、たとえば「テンペスト」は意外に思われる人も多いかもしれません。シベリウスと言えばフィンランド国民楽派」のようなイメージが強いと思いますので。けれどもかれは決して国民楽派なのではなく、ただ一人の愛国者だっただけなんですね。ヘルシンキ音楽院だけではなくベルリンやウィーンへも留学して、自らの音楽を極めようと勉学に励む芸術学生というのが、シベリウスの真の姿でしょう。

ジャン・シベリウス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9

ですから、汎ヨーロッパで題材とされる「テンペスト」に疑問を持つことはなかったと思います。日本の多くの愛国者(いや、それは国家主義者と言っていいでしょう)のように、他国はダメ、自国は素晴らしい!というのではなかったわけなのです。むしろ自国の音楽を愛するがゆえに、クラシックの技法で自国を表現したいと思っただけであると思います。

それはテンペストだけではなく、1枚目の最後の収録されている「クリスティアン�U世」でもうかがえます。だってこのクリスティアン�U世って、デンマーク王だった人ですからねえ。

クリスチャン2世 (デンマーク王)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B32%E4%B8%96_(%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%AF%E7%8E%8B)

で、いずれも戯曲のための作品です。テンペストももちろんあのシェイクスピアですし。まずは1枚目でシベリウスという作曲家がどんな人なのか、既定概念に凝り固まっている聴衆にカウンターパンチを与えます。いや、ボディブローかなー。愛国者だから他国には関心ない「素晴らしい」作曲家なんだ!という日本の聴衆をぶっ飛ばすにはすでに1枚目から十分な内容をもっています。

つまり、シベリウスは愛国的コスモポリタンだった、というわけなんです。そこが勘違いされることの多い作曲家なんじゃないかって思います。

この作品群を指揮するはユッシ・ヤラス。フィンランドの卓越した指揮者にして、シベリウスの4女と結婚した人でもあります。そんなゆかりのある人が振るオケが、ハンガリー国立交響楽団。しかもまだハンガリーが東側だった時代に、です(1972年〜75年)。一見するとえ〜オケはフィンランドじゃないの〜とがっかりすることもあるかもしれませんが、こう調べてみると実にシベリウスの実態に即したコラボだということがよくわかります。

フィンランド的な部分もある「クオレマ」も、そしてそれ以外も、霊感あふれる生命力に満ちた、すがすがしい演奏は、聴くものをシベリウスの音楽が持つ不思議な世界へといざないます。その一つ一つの戯曲で描かれたドラマがまるでそこにあるかのような感覚すら受けます。

録音という点で言えば、残響は短めなんですが、とてもライヴ感あふれるもので、ソニーのSRS-HG10は決してハイレゾではないこの音源をクリアに立体的に再現しているのは素晴らしい!これなら、2枚目も楽しみです^^




聴いている音源
ジャン・シベリウス作曲
テンペスト組曲第1番作品109-2
テンペスト組曲第2番作品109-3
劇付随音楽《クオレマ(死)》
 第1曲:ロマンティック・ワルツ 作品62b
 第2曲:カンツォネッタ 作品62a
 第3曲:鶴のいる情景 作品44-2
 第4曲:悲しきワルツ 作品44-1
クリスティアン�U世》組曲作品27
ユッシ・ヤラス指揮
ハンガリー国立交響楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村