かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:シベリウス交響曲第1番ほか

神奈川県立図書館所蔵CD、今回はシベリウス交響曲第1番とイギリス人作曲家の管弦楽曲集です。ヤンソンス指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏で、ライヴ録音になります。

この音源を借りた理由は、シベリウスの第1番とウェーベルンにありました。

まず、シベリウスの第1番ですが、当時とにかくシベリウス交響曲を一通り聞きたいと思っていましたのでこの音源を借りたのですが、他にもヤンソンスが指揮しているということも有りました。

マリス・ヤンソンス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%82%B9

この人もシベリウスの作品の指揮で名前が出て来る指揮者ですが、面白いのはその経歴で、まずレニングラード・フィルで研鑽をつんでというのが面白い点です。だからと言ってロシア物だけではなく、かつてロシアが支配していたフィンランドをはじめとする北欧の作品でもしっかりと結果を残しているのです。

それはおそらく、彼の出自がラトビアであるということと無関係ではないのでしょう。こちらもかつてロシアの支配(ソ連時代までは領土でした)を受けていたという点に注目する必要があると思います。

そして、このシベリウスの第1番という曲は、ある意味交響曲としては異色です。楽章構成は古典的な4楽章を採る一方、音楽的には後期ロマン派どころか国民楽派すら飛び越えて、その先である現代音楽かと思わせるような「音」が存在する曲です。第4楽章最後は悲劇的で、この最後が恐らくシベリウス国粋主義者のように説明する一つの要因になっているのではと思います。

交響曲第1番 (シベリウス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%82%B9)

習作だとか若書きだとか、そういったレベルで語ることはできません。かなり和声は複雑ですし。私の印象としては、国民楽派に立脚した結果、時代を飛び越えていった作品という感じです。まだ和声はしっかりしていますし、旋律もわかりやすいものではあるんですが・・・・・

なにか、第2番以降にある、透明な美しさがないのです。荒ぶる音楽という印象が強い作品です。ヤンソンスはffはしっかりとならさせていますが、それ以外はごく普通です。メリハリはきちんとついていますので、それがさらに印象を強めているのだと思います。

第1番はウィキの説明にある通りブルックナーの影響があると言われていますが、しかしそれがあまりしっかりとは見受けられないように思います。むしろ第1番を作曲する直前に聴いたベルリオーズ幻想交響曲の影響が強すぎるのではないかという気がします。

一方、ブルックナー的だというのであれば、カップリングのウェーベルンのほうが強いのではと思います。ウェーベルンは時代別でいえば現代音楽のカテゴリーに入る作曲家ですが、生きた時代ゆえマーラーブルックナーと言った作曲家を敬愛し、その影響も受けています。

アントン・ヴェーベルン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%B3

ウィキはドイツ語読みでwを発音しているのでヴェーベルンですが同じ人です。前衛音楽と言われますが必ずしも和声を破壊したわけではなく、しっかりとした和声による旋律線を持つ作品も多く作曲しています。その一つがこの音源に入っている「夏風の中で」です。むしろ、シベリウスのほうがよほど前衛的と言えるかもしれません。この二人の音楽の対比はとてもおもしろいと思います。

もう一つのカップリングがブリテンの「青少年のための管弦楽入門」ですが、この演奏はとてもダイナミックに聴こえます。しかし、ppはそれほど小さくはなく、ffがとてもしっかりと演奏されているという印象で、むしろ端整だなあと思います。しかしその演奏が単なる映画音楽であったブリテンのこの作品が、実はとても古典的であり、かつ個性的であるということを教えてくれます。以前ラトルの指揮を取り上げていますが、その時にもこの曲の本当の魅力は変奏曲こそクラシックの重要なキーワードであるというテクストで述べたと思います。そして今回も同じことを言いたいと思います。

この選曲はとてもいいなあと思います。それぞれあまりコンサートに乗らない曲でありながら、実は魅力が詰まっていることを教えてくれます。20世紀の音楽に対して、自分がいかに偏見を持っていたか、私はこの音源で教えられたのです。音楽によって殴られることで・・・・・

こぶしであれば痛いですが、音楽であれば全く痛くありません。こういった音楽に触れることこそ、幸せを感じる瞬間です。



聴いている音源
ジャン・シベリウス作曲
交響曲第1番ホ短調作品39
ベンジャミン・ブリテン作曲
青少年のための管弦楽入門作品34(パーセルの主題による変奏曲とフーガ)
アントン・ウェーベルン作曲
夏風の中で〜ブルーノ・ヴィレの詩による大管弦楽のための牧歌
マリス・ヤンソンス指揮
バイエルン放送交響楽団



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