今月のお買いもの、先月の残りをまずはご紹介しています。ニールセンの交響曲全集の第2集で、第3番と第4番です。
それにしても、なぜここで番号順ではないのだろうと思ってしまいます。なぜなら、第3番と第6番とでは、まったく異なる作風であるからです。第3番は後期ロマン派の香が高いものですが、第6番はむしろ前衛的で、いわゆる「現代音楽」的な響きになります。これは果たして、同じ作曲家によるものなのか?と思ってしまいます。
第3番は「広がりの交響曲」とも呼ばれますが、それは第1楽章の発想記号に由来していまして、標題音楽ではありません。
交響曲第3番 (ニールセン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%B3)
特徴として、第2楽章にヴォーカリーズが入ってくることがありますが、それはウィキの説明によりますと、これ以降の交響曲に通じるものだと言います。確かにこういったアクセントになる楽器を効果的に用いるという路線は第6番でも出てきます。
交響曲第6番 (ニールセン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC6%E7%95%AA_(%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%B3)
そうはいっても、第6番はシンプルという副題がついていますが(シンフォニア・センプリーチェ)、これもまた標題音楽とは言いがたいものです。むしろ、伝統的な交響曲の形を借りた交響詩のような印象を受けます。第6番は晩年のニールセンの健康状態が反映されたものと言われているからで、特にそれが現出しているのが第1楽章と第4楽章だと思います。特に、第1楽章では途中心臓発作を表現している部分があると言われています。
ただ、旋律的にはとても親しみやすいものを持っており、どうも現代音楽は苦手という人でも、この第6番は十分受け入れることが出来るのではないでしょうか。
この二つからも、ニールセンのもうひとつの特徴が見えてくるように私は思います。それは、主に20世紀初頭に活躍した作曲家であったにも関わらず、古典に範をとった作品が多いという点です。ブラームスといった後期ロマン派からまずかなり影響を受けていますが、そもそもブラームスなどが示した古典派に範をとるということを、影響を受けたからこそニールセンもやっています。この二つの交響曲にしても、楽章構成は古典的なものを崩していません(まだご紹介していない第4番と第5番では崩しているにも関わらすです)。
私はこの点も、恐らくニールセンがあまり人気がない証拠ではないかと思っています。つまりは、ブラームスの二番煎じだとか、活躍した時代の割には時代錯誤だとか。しかし、本当にそうなのでしょうか。彼の音楽の様式は確かに後期ロマン派から多大な影響を受け、それが古典回帰という姿勢にも表れているでしょう。しかし音楽自体は決して二番煎じではありません。ブラームスでもなければマーラーでもなく、ましてやシベリウスでもありません。ここにはニールセンがしっかりとその姿を現わしています。
むしろ、近いのはヴォーン・ウィリアムズではなかろうかとさえ私は思っていまして、そのヴォーン・ウィリアムズに隠れてしまっていまいち地味な存在になってしまっているのではなかろうかと思っています。しかし、もしヴォーン・ウィリアムズがニールセンに影響を受けたとしたら・・・・・
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%BA
ニールセンがどれだけシベリウスから影響を受けたかはウィキからは知ることが出来ませんが、ともに影響を受けた可能性はあります。しかも、ヴォーン・ウィリアムズはニールセンよりも遅く交響曲第1番を発表しています。となると、ニールセンの作品をヴォーン・ウィリアムズが知っていた可能性こそ高いと言えましょう。
こういった作品を聴きますと、20世紀の交響曲への興味ががぜん出て来るものです。
聴いているCD
カール・ニールセン作曲
交響曲第3番ニ短調作品27「広がりの交響曲」
交響曲第6番「素朴な交響曲」
オーレ・シュミット指揮
ロンドン交響楽団
(Regis RRC2046B)
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