今回の神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーは、エルガーの交響曲第1番を取り上げます。アンドレ・プレヴィン指揮、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
エルガーといえば日本では「威風堂々」といった管弦楽曲で有名な作曲家ですが、それ以外の曲って、あまり知られていないように思います。演奏機会も少ないですし。
私もその一人だったわけなのですが、さまざまなチャンネルを通して、エルガーの作品に触れるにつれ、やはり交響曲を聴いてみたいという気持ちを抑えることが出来なくなり、この音源を借りたのです。
以前、ヴァイオリン協奏曲のCDをご紹介したと思いますが、その時に交響曲も聴いてみたいと述べたかと思います。それを実現させたのが、この音源を借りることだったのです。
エルガーは交響曲を2曲書いていまして、幸いに神奈川県立図書館はその二つとも保有しています。今回はそのうち第1番です。
第1番は1907年から08年にかけて作曲された、彼が50台になって創作した作品です。エルガーの人生においてすでに後半にさしかかってからの作品ということになります。
交響曲第1番 (エルガー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC)
エドワード・エルガー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC
曲の特徴を一言でいえば、とても保守的であると言えるでしょう。後期ロマン派の香高い曲であり、さらに言えばサン=サーンスに連なる循環形式の絶対音楽の作品といえるでしょう。当時萌芽のあった無調音楽的なものはほとんど聞き取れません。
第2楽章は正確にはスケルツォではないですが、スケルツォ的な音楽といえるでしょう。プレヴィンはそれを意識してか速いテンポで演奏させています。
旋律線がはっきりしていながら、まったく軽薄ではなくむしろ重厚な曲ですが、循環形式を取っている割にはサン=サーンスの影に隠れてしまっているなと思います。オケは祖国の作曲家であるゆえか、金管は吠え、しかしそれが美しく、エルガーという作曲家の姿を私たちにはっきりと映し出しています。
そう、エルガーという作曲家はそもそも「威風堂々」のようにきらびやかな管弦楽作品を生み出しているのに、他の管弦楽作品をほとんど知らないという状況に陥っています。これはいったいなぜなのでしょうか?それは「威風堂々」が有名であるせいで、むしろ交響曲は作曲していないのだなと私たちが錯覚してしまっていることが原因なのではと思います。
確かにエルガーは交響曲を2つしか残しておらず、さらに着手はしたようですがそれは未完成に終わってしまったことから、私たちは「エルガーは交響曲を作曲していない」と錯覚してしまっているのだと思います。だからこそ、エルガーの協奏曲や交響曲を聴いてこなかった、あるいはそのきっかけを得ることが出来なかったと言えるのではないでしょうか。
しかし、それは明らかに私自身は誤りだったと思っています。この第1番はサン=サーンスほどのきらびやかさはないですが、重厚なのにカンタービレし、美しく華麗です。真っ直ぐサン=サーンスの音楽をうけつぐ作品とも言えるかと思います。同時代のシベリウスなどとはまた一味違う路線を聴くのもまた楽しいものです。
こういった作品に出会うたびに、私の音楽観はブラッシュアップされるので、20世紀の音楽から目が離せません。
聴いている音源
エドワード・エルガー作曲
交響曲第1番変イ長調作品55
アンドレ・プレヴィン指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
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