かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:サン=サーンス 交響詩全集

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はサン=サーンス交響詩全集を取り上げます。

え、ではシリーズなんですねっていう、ア・ナ・タ。いいえ、サン=サーンス交響詩を4つしか書いていませんので、今回一度きりです。つまり、CD一枚に収まっているってことです。

けれども、ヴォリュームは結構ある作品が多いのも特徴です。1曲目の「死の舞踏」は最も有名なサン=サーンス交響詩だと言えます。

死の舞踏 (サン=サーンス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E3%81%AE%E8%88%9E%E8%B8%8F_(%E3%82%B5%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B9)

骸骨が踊るという、当時としては画期的な表現だったがゆえに、初演の評判は散々に終わった作品ですが、徐々に作品の革新性とオーケストレーションの素晴らしさが認知された作品です。

ある意味、この「死の舞踏」ほど、サン=サーンスという作曲家を表している作品もないと思います。サン=サーンスといえば、新しいことをやっていない保守的作曲家と言われることが多いのですが、実はそんなことないんです。こういったオーケストレーションの新しさが目立つ作品のほうがはるかに多いんです。新しいジャンルを作らなかっただけで、ロマン派の新しいジャンルをさらに洗練させていったのは間違いなくサン=サーンスだと言えます。

多分、サン=サーンスがいなければ、例えばリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」はなかったでしょうし、スメタナの「わが祖国」もなかったんです。それほどサン=サーンス音楽史において果たした役割は大きいのです。「死の舞踏」はわずか6分ほどの作品ですが、1曲目に持ってくるのは当然だと思います。

2曲目が「若きヘラクレス」。「ヘラクレスの青年時代」とも言われるこの作品は、ある意味最後に収録されている「オンファールの糸車」と対になっていると私は考えています。なぜなら、テーマに取り上げているのがヘラクレスだから、です。

ヘラクレスの青年時代
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%81%AE%E9%9D%92%E5%B9%B4%E6%99%82%E4%BB%A3

ヘラクレスは力強い英雄とされますが、一方で奔放な性など、神としてはかなり人間臭い存在なんですね。それを幻想の世界で表現し聴き手をいざないながらも、考えさせるという高等作品です。実にギリシャ神話に造詣が深いサン=サーンスならではだと思います。それは一方の「オンファールの糸車」で顕著で、ヘラクレスが罪を償うために小アジアの女王オンファールのもとで糸車を引く奴隷となるという物語を描いているのです。

オンファールの糸車
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E7%B3%B8%E8%BB%8A

これを最後に持ってきて、静かにアルバムが知らぬ間に終わっているというのも、粋だなあって思います。

この2つのヘラクレスの物語に挟まれるように第3曲目に収録されているのが、「ファエトン」。サン=サーンスが言うように誇り高い作品で、壮大なスケールを持っています。

ファエトン (交響詩)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A8%E3%83%88%E3%83%B3_(%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E8%A9%A9)

4曲だけとはいえ、サン=サーンスがこの4つを作曲するきっかけになっているのが、リストとの出会いなんです。リスト自身は多くの交響詩を作曲し、優れた作品を多く残しましたが、サン=サーンスもそれを受けて、さらに洗練された作品を4つだけですが残したのです。けれどもこの4つの作品が、後期ロマン派、特に国民楽派において、多彩な表現をするツールとして交響詩が好まれるきっかけになっていくのです。

演奏はピエール・デルヴォー指揮、パリ管弦楽団。フランスのオケは本当に自国の作曲家だと水を得た魚のようです。芳醇なアンサンブルに加えて力強い生命力あふれるサウンドになるんですよねえ。さらにはこのサン=サーンスでは荘厳さすら加わり、そこにはドイツ音楽と見紛うばかりの魂への旅路があります。エスプリが香るだけでなくいわゆる「精神性」もしっかりとある素晴らしい演奏だと思います。それはまさしく、サン=サーンス音楽史において如何に重要な役割を果たしたのかを、しっかりと理解しているから故だと思います。




聴いている音源
カミーユ・サン=サーンス作曲
交響詩「死の舞踏」作品40
交響詩「若きヘラクレス」作品50
交響詩「ファエトン」作品39
交響詩「オンファールの糸車」作品31
ルーベン・ヨルダノフ(ヴァイオリン)
ピエール・デルヴォー指揮
パリ管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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