かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:エルガー・ディーリアス チェロ協奏曲集

神奈川県立図書館所蔵CD、今回はエルガーとディーリアスというイギリスの二人の作曲家のチェロ協奏曲集です。チェロはデュ・プレです。

この音源を借りましたのは、エルガーとディーリアスというそれまで私があまり聴いてこなかったイギリスの作曲家の作品に目が向いてきたのが理由で、この後CDで幾つか買っています。それは今回横において・・・・・

もうひとつの理由は、なんといってもチェロがデュ・プレであるということです。

ジャクリーヌ・デュ・プレ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AC

天才少女と謳われ、1961年にデビューしてまもなくヴィルトォーソの一員と数えられるようになりましたが、その活動はわずか12年。1971年に難病である「多発性硬化症」を発症し1973年に引退。その14年後の1987年に息を引き取った、悲劇のヒロインです。

エルガーのチェロ協奏曲は、彼女はデビューした年に演奏していますが、まさしく超絶技巧と呼ぶに相応しい曲です。

チェロ協奏曲 (エルガー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AD%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC)

1918年に作曲された作品で、ドヴォルザークシューマンのものと並ぶと言われる曲ですが、イギリスの作曲家らしく1918年という時代としては少し保守的で、後期ロマン派にどっぷりつかっている作品です。

これをデュ・プレは淡々と演奏するのです。確かに、ドラマティックな部分あり、反対に静謐な部分あり、曲自体に起伏があるのですが、それが彼女の手にかかってしまいますと、当たり前のように音楽が流れていくのです。それなのに、溢れるばかりの情熱が演奏に一貫しています。

これはすごい点です。つまり、もう豊かなどという表現で言い尽くせつ様な表現力ではありません。超絶技巧が自らの芸術、自家薬篭中のものとして提示されているのです。

ディーリアスにしても一緒です。ディーリアスのチェロ協奏曲は1921年に作曲されました。ディーリアスは特に自由な形式の管弦楽作品でその名が知られており、その分エルガーに比べますとより現代的な音楽がそこに存在します。旋律や和音だけではなく、形式面でも一楽章を採用するなど、他のイギリスの作曲家たちと比べますとより前衛的になります。それは彼のルーツがドイツであるということと、若き日にはアメリカ、そして1888年以降死ぬまでフランスで暮らすという生涯が大きく影響していると言えます。

フレデリック・ディーリアス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B9

このより現代音楽に近い作品で、よりデュ・プレのチェロは輝きを増し、音色の豊潤さと技巧のとびぬけた素晴らしさが音楽をまるで年代物のワインのような深い味わいにし、遠い精神世界がすぐそこにあるかのような幻想的な世界を演奏において提示しています。

ああ、もっと彼女のチェロが聴きたい!と思うのは私だけではないはずです。もちろん、幸いなことに彼女は売れっ子でしたから録音が他に残っていますが、もう二度とライブで聴くことはできないのです。もちろん、いま生きていたとしても十分弾けるとは限らないでしょうが、生きていれば今年67歳なのです。まだ十分弾ける年齢ではあります。

エルガーもディーリアスも、今ではいいなと思う今日この頃ですが、そのきっかけをくれたのは、夭折したこの天才女流チェリストだったのです。感謝してもしきれません。

今でも、国内盤、輸入盤どちらも出ておりますので、是非とも手に取って聴いていただきたい演奏です。もし手に入らなければ、県民の皆様、紅葉坂へ!



聴いている音源
サー・エドワード・エルガー作曲
チェロ協奏曲ホ短調作品85
フレデリック・ディーリアス作曲
チェロ協奏曲
ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)
サー・ジョン・バルビローリ指揮
ロンドン交響楽団エルガー
サー・マルコム・サージェント指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(ディーリアス)



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