多分、日本ではコアなクラシック・ファンだけに知られている作曲家であろう、スヴェインビョルンソン。管弦楽が有名だそうですが、私の座右の銘(?)は、「知らない作曲家こそ室内楽から聴け」。
ですから、このナクソスのアルバムは、大変楽しみに借りた記憶があります。意外と県立図書館にはナクソスが多いのですよね。値段が安いって点もあるかと思いますが・・・・・
さて、スヴェインビョルンソンですが、アイスランドの作曲家です。アイスランド初の本格的クラシック作曲家だといわれています。1847年に生まれ1927年に没していますから、ちょうど後期ロマン派の時代ですが、音楽的には前期ロマン派的になっています。それはどうしても中欧よりも周辺に行けば行くほど、音楽の伝播は遅れるからです。
オリジナルの絵とか、漫画とか、音楽とか、珍しいものなど《妄想印象派》
脳内にて、東京藝術(芸術)病院 多摩美術病院 武蔵野美術病院 女子美術病院に勤務
スヴェインビョルンソン(Sveinbjörnsson)(2)アイスランドの作曲家
https://ameblo.jp/ssatoloux-1987/entry-11231154198.html
これくらいしか、ネットで解説してくれているものがないのが実情だといえるくらい、我が国でも、さらには海外でもまだ知られていない作曲家だと言えるでしょう。かろうじて英語ウィキにはありました。
Sveinbjörn Sveinbjörnsson
https://en.wikipedia.org/wiki/Sveinbj%C3%B6rn_Sveinbj%C3%B6rnsson
アイスランド国歌を作曲したにもかかわらず、国内では活躍の場がなく、スコットランドはエジンバラにその場を求めた作曲家でした。メンデルスゾーンを範としたということからも、スヴェインビョルンソンが目指した音楽が前期ロマン派だったことがよくわかると思います。
彼が活躍し始めた時代はすでに、音楽の様式は後期ロマン派です。和声は分厚く、極端に耽美的で、ともすれば不健康な部分すらある音楽全盛の時代において、人間の内面を描きながらもどこか健康的美を追求する保守的な前期ロマン派を追い続けるというのは、大変な苦労があったはずです。それゆえにあまり評価されていない部分もあるのかなって思います。そのためにも、もっとメンデルスゾーンは演奏されるべきです!
で、収録されている室内楽もどれも前期ロマン派的作品ですが、聴きやすいのに深い。転調するときが特に魅力的だなあって思います。そのうえで二つの楽器が対等でかつ対話している。なんと素晴らしい地平なんだろう!
演奏するのは4人とも日本であまり知られていない演奏家たちですが、スヴェインビョルンソンの音楽を実に魅力的に、リスペクトして弾いています。特に歌っている点はまさに音楽とは何かをしっかり理解しているようにも見え、とても共感できるものです。そうだよねえ、まずは歌わないとねえ!
特に前期ロマン派なんですが、演奏家が歌うことを忘れることが多いんです。それは後期ロマン派だといわんばかりに。いえいえ、バッハだってなぜ舞曲をカンタータで使っているかって話なんです。踊ることで生きていることへの感謝を紙に伝えるためでしょ?だからこそ、カンタータという、「歌」に舞曲が含まれているわけであって、そこでカンタービレしなくてどうすんの?って話です。それを、この4人とも本当にわかって演奏しています。
前期ロマン派ですら歌うわけだから、それをもっと強調したのが、後期ロマン派なんです。だからカンタービレして当然。前期ロマン派がそうなんですもん。引き継いだ後期ロマン派が歌うのは当然の話なんです。ただ、歌い方が若干違う。そこを理解しているか否か、なんですね。
ナクソスですからあまり有名どころが出るはずもないわけなんですが、かといって変な演奏家を使うこともないのが定評となっていますがこの録音でも同様で、しっかりと音楽性を持ったプロを採用しているのは誠に共感できるものです。無名のスヴェインビョルンソンの作品でも手を抜くことなく、しっかりとした演奏にしっかりとした録音。素晴らしい一枚だと思います。
聴いている音源
スヴェインビョルン・スヴェインビョルソン作曲
牧歌 変イ長調
舞曲 ロ短調
ピアノ三重奏曲イ短調
抒情小品集
第1番 ロマンツァ 変イ長調
第2番 ララバイ ト長調
第3番 音楽の瞬間 ト短調
第4番 音楽の瞬間 ヘ長調
ピアノ三重奏曲ホ短調
ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調
舟歌 ヘ長調
アウドゥール・ハフスタインドーティル(ヴァイオリン、�B〜�P)
シクトゥール・アグナルソン(チェロ)
シクトゥール・ピャルキ・グンナルソン(チェロ、�B〜�E・�J〜�M)
ニナ・マルケルト・グリムスドッティル(ピアノ)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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