かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:グールドが弾くエリザベス王朝期のヴァージナル名曲集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はある意味珍盤をご紹介します。とはいえ、作曲者はバードとギボンズ。ギボンズはあまり我が国でもしれらていない作曲家ですが、バードなら大学合唱団あたりではよく知られている存在だと言えるでしょう。まあ、時代的にはいわゆるルネサンスという時代、です。

それのどこが珍盤なんだという人もいるかと思います。合唱界ではこの二人は結構知られている人たちですもんね。けれどもその二人の作品を、ピアノでしかもグールドが弾いているとなると、どうでしょう?

むしろ、バードに鍵盤楽器の作品があることすら、知られていないんじゃないかって思います。ピアノ作品が好きな人でもバードが出てくるってことほとんどないですしね。ところがです、ギボンズはむしろ鍵盤楽器で有名な人なんですねえ。

ウィリアム・バード
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89

オーランド・ギボンズ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%82%BA

特にギボンズは最後の10年を王立礼拝堂のオルガニストとして務めたのです。とにかく、ルネサンスというか、エリザベス朝前後の時代の作品を、グールドが弾いているということで、借りてきたのがこれなのです。だって、バロックのバッハなどでは強迫的にアグレッシヴな演奏を聴かせたグールドです。どんな演奏になっているんだろうと、ワクワクしながら借りたのです、が・・・・・

予想に反して、全くアグレッシヴではない!むしろ端正ですらあるのです。しかしだからといって楽譜をなぞって演奏しているというわけでもなく、実に生き生きとした演奏になっているんです。

そもそもヴァージナルとは、広義にはチェンバロのことを指します。ですから鍵盤楽器の作品であることは間違いないんです。それなら、ピアノで弾いてしまおう・・・・・なるほど、と思います。グールドはピアノでの演奏にこだわった人でしたから。

まあ、私としてはピリオドでというのがスタンスですが、かと言ってピアノで弾くことを否定はしません。実際、グールドの演奏は作品の時代を感じるものになっていますが、モダンの洗練さも備わっています。バードの「ヒュー・アシュトンのグラウンド(オスティナートと同義)」ではスローテンポにし、ピアノという楽器で弾く魅力をたっぷり聴かせてくれています。ガヤルドは舞曲なので多少アップテンポ。けれども、グールド特有の強迫的な演奏はどこを見ても見当たらないのです。それよりも、ピアノという楽器の特性を生かした、スローテンポで響きを重視する演奏になっているんです。

正直、この演奏を聴いてグールドの演奏の価値を見直しました。目からウロコとはこのことだと思います。どうしてもアップテンポの演奏をグールドだと勘違いし、それこそ生命力だ!と思いがちなんですが、グールドはスローテンポでもこの演奏では生命力を感じさせてくれます。もちろん、アップテンポになればなおさら、です。

とにかく、自在で自由なんです。肩に力が入っておらず、自然体です。バロックとモダンが融合したかのような、艶があり歌う演奏!そう、カンタービレ

グールドの魅力を再確認せざるを得ない演奏です。




聴いている音源
�@ウィリアム・バード作曲
 パヴァーヌガヤルド第1番
�Aオーランド・ギボンズ作曲
 ファンタジア ハ調
�Bオーランド・ギボンズ作曲
 アルマンドまたはイタリア風グラウンド
�Cウィリアム・バード作曲
 ヒュー・アシュトンのグラウンド
�Dウィリアム・バード作曲
 パヴァーヌガヤルド第6番
�Eオーランド・ギボンズ作曲
 ソールズベリー卿のパヴァーヌガヤルド
�Fウィリアム・バード作曲
 ヴォランタリー
�Gウィリアム・バード作曲
 セリンジャーのラウンド


グレン・グールド(ピアノ)


地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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