かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:ベルリオーズとブリテンの歌曲集

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回はベルリオーズブリテンの歌曲集のアルバムをご紹介します。

ベルリオーズブリテン。時代的にも相まみえることもなかった二人ですが、じつは共通項があったなんて、おどろ木ももの木さんしょの木、です。え、共通項なんてあったの?って?

まあ、作曲家として全く違うってこともないんですけどね。けれどもこの二人が歌曲を書けば、一方は英語だと思うじゃないですか。ところがどっこい、ブリテンがフランス語の歌曲を書いていたなんて、普通のクラシック・ファンだとちょっと驚きじゃないでしょうか。

ベルリオーズは生涯に4つ歌曲を書き、うち最も有名と言われるのが、ここに収録されている「夏の夜」です。恋というよりは愛の歌。故に耽美的ですし、ロマンティック。まさに前期ロマン派全開です。

夏の夜
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%8F%E3%81%AE%E5%A4%9C

一方、ブリテンもいくつか歌曲集を書いていますが殆どは英語。その中で異色なのが収録されている「イリュミナシオン」。ランボーの同名の詩集から、10を抜き出してフランス語のままで歌詞をつけたものです。

イリュミナシオン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%B3

イギリス人のブリテンが、ランボー。え、ロケットランチャー持ってるアレでしょ?って、それ、どのランボーですよ一体w「怒りのアフガン」じゃないですかそれ。その映画ではなくて、19世紀フランスの偉大な詩人です。むしろよくランボーなんて題つけたよなって、あの映画封切時には思ったものです。だって私はむしろ詩人のほうを知っていたので。

それだけ、ランボーブリテンが生きた時代、ヨーロッパ知識人たちによく知られた存在だったということなのですね。国境を超え、人のロマンティシズムに訴えるだけの内容を持っている、ということになります。けれども、翻訳はそうとう難しいようで・・・・・英語へすら、かなーり問題があるようです。

そのためなのか、ブリテンはフランス語そのままで歌詞をつけています。これ、それだけ訳が大変なら、原語そのままというのは当然であり、まっとうな判断だと思います。あるいはブリテンがフランス語ができた人だったか。いずれにしても、物語性もある詩をドラマティックに彩ることに成功しています。

歌うは、バーバラ・ヘンドリクス。まあ、大御所と言っていいですね、もう。けれども本当に彼女がすごいのは、私は「喋り方」だとおもっています。日本人ソリストにありがちな、深い発声のために口を縦に大きく開けてしまうような発声が、聴いていて見受けられないんです。むしろ平べったい発音がたくさんあるんです。けれども、聴いていて平べったい発声は一つもなく、深い発声になっているため、ダイナミックで生命力があり、しかも艶のある歌唱になっています。

これ、簡単なようでできないんですよ。特に日本人の骨格だと。まさにこの歌唱法は、私が宮前フィルハーモニー合唱団「飛翔」在団時、合唱指揮の遠藤先生から常に指導を受けていたことなんです。多分、オルケストル・デ・ベルの第1回演奏会で第九を歌った合唱団員の方たちはわかると思いますが、遠藤歌唱法はハマればものすごいエネルギーを内包しているので素晴らしい演奏になりますが、実現するまでがなかなか大変です。何しろ、日本人の短所と戦うわけなのですから・・・・・しかも、下腹でしっかり支えられないと実現も難しく、私もできるようになるまで以前の職場に在職中、会社のある銀座から青山一丁目まで歩いて帰っていたことすらあります。定期券持っていたので特段安くなることもないにもかかわらず。腹筋作らないと遠藤式では声が飛ばないんですよ。ほとんど肉体改造に近いw

それが、欧米人であるヘンドリクスはできてしまうんですよねえ、これが。よく日本人は意志が、主体がとか言われるんですが、まあ、それも間違った指摘ではないですけれど、そもそも自分たちは男性でも骨格が違うんだという意識をどれだけ持てているかってことなんです。クラシック音楽を歌うってことは、それだけスポーツだと言っていいでしょう。魂を表現するために、フィジカルが大事である・・・・・健全な精神は健全な肉体に宿るとはよく言ったもんです。

例えば、女性でも一日数キロ歩くとか、バーベルを上げるとかしないと、バーバラと同じような歌唱は難しいってことなんです。少なくとも腹筋は鍛えようとしないと・・・・・私などは、なかなか歩けなくなった時は、寝ているときに仰向けになって足を数センチだけ上げるということをやっていました。痩せはしませんがウェストは腹筋が鍛えられる分引き締まるので。これ、2月の第九の時はすっかりやり忘れました(爆)そりゃあ声飛ばすのに苦労するわけだw

こういう演奏を聴くことで、自分の愛や恋などを振り返るだけではなく、自分が歌うときに何がかけていたんだっけ?と振り返られるという点で本当に素晴らしい演奏だと思います。もちろんバーバラの表現力は抜群なんですが、それだけはなく、その素晴らしさの源泉ってなんだっけ?と振り返らえるのがいいんです。サポートするデイヴィスは端正かつ情熱的なタクトで評判のある指揮者。オケはイギリス室内管弦楽団と、ペライアモーツァルトのピアノ協奏曲も演奏したオケ。モーツァルトのギャラントと陰影が交錯する深い作品を存分に演奏できるだけの力のあるオケですから、ベルリオーズブリテンのような、和声に一癖あるような作品でも自在に表現するのはいいですね。室内オケということでソリストとのバランスもぴったり!やはり時代は室内オケではないかという気がしています。




聴いている音源
エクトル・ベルリオーズ作曲
歌曲集「夏の夜」作品7(デオフィール・ゴーティエの詩による6つのメロディー)
ベンジャミン・ブリテン作曲
イリュミナシオン 作品18(アルテュールランボオの詩によるソプラノと弦楽オーケストラのための9つの歌曲集)
バーバラ・ヘンドリクス(ソプラノ)
コリン・デイヴィス指揮
イギリス室内管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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