かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ベルリオーズ イタリアのハロルド他

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はベルリオーズの「イタリアのハロルド」を収録したアルバムをご紹介します。

交響曲の棚にあり、ちょっと興味を持って借りてきたのを覚えています。ベルリオーズという人は面白くて、当時交響曲ハイドンからベートーヴェンという作曲家を経て、ようやくコンサートの主役に躍り出た、じつは流行のジャンルだったわけなんですが、その交響曲をもっと自在に作曲した人がベルリオーズでした。その典型が「幻想交響曲」であるわけです。

そんなベルリオーズには幻想交響曲のような交響曲がいくつもあり、この「イタリアのハロルド」もその一つです。実際に4楽章形式ですし。この様式は後世、交響詩にも受け継がれていきます。例えば、リムスキー=コルサコフの「シェエラザード」などがその一例です。

ですから、ベルリオーズ交響曲はじつは音楽史上重要な地位を占めるのですが、意外と我が国ではその重要性が語られないですし、また注目もされないんですよねえ・・・・・・

この「イタリアのハロルド」も、幻想交響曲よりは地味でと以下のウィキにも書かれていますが、まあ、音楽は確かに幻想ほどのアクはないです。けれども、私は構造的にはいっしょだと思っています。何がいっしょだってって?それは、幻想同様、主人公が夢想しているという点です。

イタリアのハロルド
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%83%89

ヴィオラは主人公のハロルドを表現しているわけですが、なぜヴィオラが最終楽章に行くに従って出番が少なくなっていくんでしょう?それは、おそらくこうだと思います。あくまでも私の私見ではありますが・・・・・

それは、じつは第1楽章の、楽しいあの楽章ですでに、ハロルドは山賊に捕まっている、ということなのだと言うこと、です。そう仮定すると、第4楽章、いきなり山賊が酒盛りしていることが情景として納得行くのです。

だって、普通山賊がいきなり酒盛りってシーンに行くと思いますか?通常ないですよね。ドラマ仕立てになっているのであれば、山賊が出てくるような、もっとおどろおどろしいシーンになるはずです。しかし、場面はいきなり転換します。それはそれまでの3楽章が回想のシーンであり、第4楽章が現実であるということを示している、というわけなのです。

そうだとすると、幻想に比べて地味、というのは当たらないと思います。この作品、幻想交響曲よりも4年あとに書かれた作品です。幻想交響曲で使われたイデー・フォックスを使用しつつ、幻想交響曲よりも引き締まったストーリーを持っていると私は判断します。もっとコンサートピースになってもいい作品だと思います。

演奏するはデュトワモントリオール響。ヴィオラはズッカーマンと、スター揃い。特にいいのは、やはりオケのモントリオール響が持つサウンドですね。ffが決して脅迫的ではなくしなやかさを内包するんです。言い換えれば強いアインザッツの中に軽さがあるというか。それが作り出す音の芳醇さ!音が私を包み込む幸せ!

それはカップリングの2つの序曲でも変わりません。特に最後の「海賊」は別にやはり図書館で借りてきたプレヴィン指揮フィルハーモニア管のがありますが甲乙つけがたい素晴らしい演奏です。やはりフランス物なら生き生きとするコンビだなあと思います。ベルリオーズの作品は決してベートーヴェンのような高い精神性というような敷居の高いものはありませんが、人間が持つ内面性は鋭く切っており、その切り口を演奏者はどう表現するのかと言うのが聴きどころだと思いますが、このデュトワモントリオール響のコンビは実に鋭利に切り、カンタービレするなあと思います。そこがなんとも魅力的です。




聴いている音源
エクトル・ベルリオーズ作曲
交響曲「イタリアのハロルド」作品16
序曲「ロブ・ロイ」
序曲「海賊」作品21
シャルル・デュトワ指揮
モントリオール交響楽団
ピンカス・ズーカーマンヴィオラ

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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