かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:オネゲル 交響曲全集1

今回の神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーは、オネゲル交響曲全集を取り上げます。デュトワ指揮、バイエルン放送交響楽団の演奏です。

オネゲルという作曲家は、コアなクラシックファンじゃないと知らない作曲家だと思います。特に、日本のようにドイツものが闊歩している国に於いては・・・・・

アルテュールオネゲル
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%8D%E3%82%B2%E3%83%AB

この人は時代区分からすれば現代になる人で、以前からご紹介している「新古典主義音楽」を標榜した「フランス6人組」の一人でもあります。

私は最近、「今月のお買いもの」のコーナーで新古典主義音楽の作曲家をとりあげていますが、そのきっかけをくれたのが、この音源でした。

そもそも、オネゲルに対する興味は私のベルズ好き、つまり「鉄」、鉄道ファンであることから始まっています。オネゲルの代表作と言いますと、パシフィック231という、機関車を描写した作品ですが、そんな作曲家が作った交響曲とは、いったいどういったものなのかに興味があったからです。

私自身にその眼を向けさせてくれたのは、スクリャービンシマノフスキといった作曲家なのですが、もちろんこういった作曲家たちとは音楽的には不協和音の多用という点では一致しますが、様式的な面では異なります。それこそが、「新古典主義」という様式です。

この後、御紹介することになりますけれど、大バッハの息子達が作曲していたような、そして実はモーツァルトも番号なしの作品で圧倒的に作曲した(中には序曲からの転用もある)3楽章の交響曲がありますが、これはフランス風と呼ばれます(モーツァルトの「パリ」はそれを意識して3楽章なのです)。それをもう一度復活させたのが、オネゲルなのです。

この新古典主義音楽という運動は、けっして古典派以前の音楽に「旋律的に」戻ることのみを意味しません。音楽的には現代音楽であっても、形式面で古典派以前のものを使うということを標榜しているからです。オネゲルはそれを「3楽章交響曲」という点に於いて実現させています。

ですから、聴きますとどこが新古典主義なのだろうと思ってしまうかもしれません。印象派的な旋律もあり、古典って、どこよ〜と思わずにはいられません。しかし、形式面が主なのだと理解してしまうと、一気に理解が進むだろうと思います。

つまり、新古典主義音楽とは、いわば温故知新運動であるといってもいいでしょうし、中世のルネサンスにも相当する運動であるといってもいいかと思います。古いものをそのまま使うことではないことははっきりしています。

第1番では3楽章という楽章構成の面だけのような感じですが、第2番では最終楽章におけるフーガの導入も新古典主義音楽であることを高らかにうたいあげています。第5番では、各楽章がティンパニの「レ」の音で終わっているという形式(文学的には韻を踏むというべき形式です)をさらに採用し、それによって不安感をかもし出すという、バッハ得意の「レトリック」(それは「第5番」がベト5「運命」を象徴する数字でもあるという点においてもレトリックです)の応用でもあります。

デュトワが取り上げるのはもちろんですが、オケがバイエルン放送響というのも素晴らしいですね。新古典主義音楽を俯瞰するとき、実はドイツの作曲家、ブラームスは避けて通れません。そして、オネゲルは実はブラームスも好きでした。そういった歴史を、演奏側はきちんと踏まえているわけなのです。

ドイツのオケの重厚な響きをデュトワが振った結果、重厚かつ色彩感あふれる演奏になっています。私はそれはオネゲルの作品の聴きやすさに貢献しているように思います。ダイナミクスという点は少し劣るかもしれません。しかし、特にオネゲルなのですが、彼の交響曲は決してベートーヴェンのように勇ましくはありません。もっと知的な作業が必要な作品です。ですから、解析とか分析が好きな人にとっては、たまらない作品だろうと思います。まず第1集に収められた、第1番、第2番、そして第5番の3曲は、オネゲルの「立ち位置」を明確にする作品であるのと同時に、第2集に収められている「パシフィック231」の本当の魅力も、教えてくれるものなのですが、それについては、第2集を取り上げる時に述べることといたしましょう。



聴いている音源
アルデュール・オネゲル作曲
交響曲第1番
交響曲第2番「弦楽のための」
交響曲第5番「3つのレ」
シャルル・デュトワ指揮
バイエルン放送交響楽団



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