かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ルーセル 交響曲全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回と次回の2回に渡りまして、ルーセル交響曲を取り上げます。

以前、私は以下のエントリを立てました。

今月のお買いもの:ルーセル 交響曲第1番 他
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1358

しかしですね、県立図書館から借りてきた音源のファイルを整理していたらですね、出てきました、ルーセル交響曲全集・・・・・

このエントリを書く3年程前に、借りてきていました。しかもです、解説まで書き写していました・・・・・

どうも、どこかで見た記憶があったと思ったんです。見ただけではなく、しっかりと借りてきていました・・・・・

ということはです、以下のことがしっかりと実現されていたってことなんです。

「できれば交響曲第2番以降の作品も聴いてみたいところです。実はウィキで調べてみますと、4曲ある交響曲の中で唯一の3楽章形式が第2番なのです・・・・・」

では、しっかりとルーセル交響曲、取り上げていきたいと思います。

ルーセルは、上記エントリでもご紹介したとおり、印象派新古典主義音楽において活躍した作曲家です。

アルベール・ルーセル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%AB

ドビュッシー亡き後のフランス楽壇、そしてその後のフランス楽壇を支える作曲家たちを指導した作曲家であり、教育者でした。そのキャリアの下となったのが、軍人生活だったというのは興味深いと思います。なぜならそれは、ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフと一緒だからです。

考えてみれば、リムスキー=コルサコフルーセルよりも25歳年上で、代表作「シェエラザード」が作曲、発表されたのが1888年ルーセルフリゲート艦イフィジェニー号でインドシナ近海に勤務したのは、その1年後〜2年後なんです。ウィキにも、そして書き写したブックレットにも記述はないですが、ルーセルシェエラザードを知った可能性は十分あります。海軍軍人を目指していた自分にも、作曲家としての可能性があるのではないか・・・・・・そう考えても不思議はありません。

その証拠に、ルーセルの作品の特徴は古典的である、ということです。和声も、そして様式的にも、古典的な作品が多くあります。それでいて、時代の影響もある・・・・・聴きますと実に多彩な内容を含みます。

だからこそ、武骨さもあるのが、ルーセルの、特に交響曲の特徴であると言えるでしょう。第1番はウィキとブックレットでは着目点が異なり、ウィキではバレエ音楽としても使われるとありますが、一方ブックレットではその4楽章の性質に着目しています。つまり、4楽章は四季を表現している標題音楽である、ということです。

交響曲第1番 (ルーセル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%AB)

印象派的な作品であることは、以前述べた通りなんですが、それもそのはず、標題音楽なんですから。当然と言えるでしょう。しかし、単に印象派の影響を受けたのではなく、作曲の念頭に、ヴィヴァルディの「四季」もあるのでは?と聴き手に想像させます。その上、循環主題になっており、これは19世紀リストが始め、交響曲ではルーセルの母国フランスの作曲家サン=サーンスが「オルガン付」で採用した様式です。そういったもろもろの音楽が、ルーセルのあたまにあったのかもなあと、聴いていてワクワクします。

その上で、決してまねではないんですね。しっかりとルーセルらしい「武骨さ」もあって、正にフランスのエスプリだと思います。

次の第3番。まさにいきなり、「聴きたかった第2番以降」が出てくるなんざあ、さすが振っているのがデュトワだけあると思います。これも4楽章形式なんですが、ルーセル芸術の一つの頂点といえるべき作品です。

交響曲第3番 (ルーセル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%AB)

ウィキではあまりにも簡単な表記なので、できればCDを借りるか購入されることをお奨めします。元音源はエラートのはずで、神奈川県立図書館以外にもライブラリに入れている図書館が都内にありますので、都民の方は是非とも一度借りてみることをお奨めします。簡単に言えば、第3番こそまさに古典的な作品で、4楽章形式であること、和声的であること、対位法が採用されていることなどが当たります。にも関わらず、全く古くさくなく、その時代の息吹が存分に感じられる作品に仕上がっています。まさにボストン交響楽団設立50周年の記念に委嘱された作品だけあると思います。

ルーセル交響曲は主張はないんですが、しっかりとした骨太の構造を持っているがため、聴いていて唸るものが多いなと言うのが、この第1集を聴いた感想です。指揮するデュトワはフランスものを得意としますが、まさにルーセルと言う、日本人の聴衆にはなじみがない作曲家の作品を見事に特徴を浮びあがらせ、その上でしっかりとオケを豊潤に鳴らしています。オケはフランス国立管。威信にかけて・・・・・なんていう肩ひじ張ったものも、妙な力も張っておらず、単に自分の国の作曲家の作品を誇りを持って自然体で演奏しています。むしろ、自国の作曲家の作品を世に問う、その喜びを体現しています。伸びやかでかつしなやか。美しくかつ豊潤。いやあ、こういう交響曲もあるかあと、頭をガツンと殴られたような感じです。

デュトワという指揮者ゆえに、オケは変に力が入らず、自然体で演奏で来ているのかもしれませんが、いずれにしても「これがフランスの知られざる作曲家なんだ!すごいだろ〜」ではなく、「こんな作曲家がいるんですけど、どうでしょう?」という感じなんです。これが本当に自信と誇りのある国の音楽家なんだなあって思います。

第2集は第2番と第4番。第2番は唯一の3楽章形式であるだけに、聴いて、御紹介するのが楽しみです!




聴いている音源
アルベール・ルーセル作曲
交響曲第1番ニ短調作品7「森の詩」
交響曲第3番ト短調作品42
シャルル・デュトワ指揮
フランス国立管弦楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村