かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ウェーバー クラリネット協奏曲第1番・第2番

今回の神奈川県立図書館所蔵CDは、ウェーバークラリネット協奏曲を「久しぶりに」取り上げます。

というのも、以前「今月のお買いもの」で取り上げているからです。

今月のお買い物:ウェーバー クラリネットファゴット協奏曲他
http://yaplog.jp/yk6974/archive/380

間違って借りてきたのではなく、これは敢えて図書館のものも借りてきたものです。エントリをアップした当時、クラリネットの音色についての言及がない、もっと他の音源もきくべきだという指摘があったからです。

ただ、それについては既に多くのエントリで語っていますから端折りますが、クラリネットと言えば温かみのある音色ですが、この音源ではそれを確認できるような演奏となっています。テンポ的には颯爽としていまして、まるで古典派のようです。

以前のエントリでも語っていますが、ウェーバークラリネット協奏曲は、第1番、第2番とも古典派の時代の作品です。確かに、ウェーバーですから音楽的には前期ロマン派ということにはなりますが、様式的には古典派的な部分がかなり残っているのが特徴です。

音形的に、モーツァルト的な部分が第1番、そして第2番共に多々あるのが特徴で、それはそもそも、「ミュンヘンの宮廷管弦楽団クラリネット奏者であったベールマンのために書かれ」た(ウィキ)という部分からも、古典的なのです。

クラリネット協奏曲第1番 (ウェーバー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC)

クラリネット協奏曲第2番 (ウェーバー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC)

ウェーバーがどんな編成のオケを念頭に置いていたのかというのが、こういった記述から垣間見えるのです。この演奏はオケがバンベルクですが、オケが前に出すぎず、クラリネットとのバランスが良く取れています。以前のエントリでご紹介したオケのアカデミーと大きさが異なるのに、全く問題がないというのは、恐らく指揮者がばっさりと編成を小さくしたということが想像できます。

ということは、編成的にはやはり古典派の時代を抜け切れていない作品であるといえるでしょう。ウェーバーの作品はだからこそ、「魔弾の射手」以外はあまり日本では有名ではないという点があるのかもしれませんが、しかし、古典派からロマン派へと時代が移る時期の作品を聴きますと、ロマン派の協奏曲というものはいったいどこから線引きをすべきなのかということを、本当に考えさせられます。

音楽の表現としてロマンティックだからロマン派に入れるべきなのか、それとも、編成が大きくなったところから入れるべきなのか、難しいところです。少なくとも、後期ロマン派の意識でこの時期の作曲家の作品を聴いてはならぬということだけは、はっきりしていると思います。それをこの演奏でも再認識させられます。

7月に聴きに行ったテレマン室内の演奏会でも延原氏が触れられましたが、私は前期ロマン派はやはり編成を考えるのはとても大事だろうと思います。楽器一つに大規模な編成を組むべきなのかどうか・・・・・それはこの演奏を聴いても疑問です。クラリネットとオケが対等に、しかも会話し、ともすれば渡り合うその姿は、モーツァルトからの延長線上に、さらにロマンティックな面を重視した作風であることをはっきりと示しているからです。

そんな一つに、この音源で収録されているコンチェルティーノがあります。これも決して後期ロマン派のようにまるでオケに立ち向かっていくような作品ではなく、基本的にはオケとの会話を楽しみつつ、対等に渡り合うという作品です。その上で、小協奏曲という名にふさわしい、一楽章の手軽さをもっています。

こういった音源は、その後ウェーバー交響曲をはじめ「ロマン派初期の作品群(その中にはクルーセルもいます)」へとその興味を向けさせることになるのですから、私にとってはCDと合わせ、エポックメイキングな出来事でした。こういったことはまるで、人生を変えるかのような作用をもたらします。

ここから、私の眼はさらに広い世界へと見開かれていったのは間違いないでしょう。惜しむらくは、これがもっと若い時期だったらなあ、と。図書館が貸し出しをしていて、さらにナクソスよりも安い輸入盤が存在し、ネットで情報が得られる今の若い人は本当に恵まれているなと思います。私の世代が20台だった頃は、クラシックを聴くのは本当にお金がかかる事だったのですから。その幸せを是非とも、かみしめてほしいなあと思います。



聴いている音源
カール・マリア・フォン・ウェーバー作曲
クラリネット協奏曲第1番へ短調作品73
コンチェルティーノ(クラリネットとオーケストラのための)変ホ長調作品26
クラリネット協奏曲第2番変ホ長調作品74
エドゥアルト・ブルンナー(クラリネット
オレク・チェターニ指揮
バンベルク交響楽団



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