かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:ヴォイス・オブ・ジャパン合唱団 演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成31年4月14日に聴きに行きました、ヴォイス・オブ・ジャパン合唱団の演奏会を取り上げます。

この演奏会を知ったきっかけは、フェイスブックでした。何しろ、プログラムが高田三郎の合唱曲2曲だって言うんですから・・・・・その2曲とは、「水のいのち」と「心の四季」。以前、このブログでも高田三郎御本人の指揮による演奏を取り上げています。

マイ・コレクション:水のいのち ��田三郎作品集1
https://yaplog.jp/yk6974/archive/870

やっぱり、高田三郎といえば、これだよねえって思います。しかもですよ、FBFでコア・アプラウスの団員である、かつての合唱団の仲間が、アプラウスのメンバーが出ているからチケットあるんだけど行きますか?と。そりゃあ、行きますとも!

とは言え、この14日という日はいろんな予定がてんこ盛り。さて、どうしようかと思案した後、まあ、無理はできないだろうということで、このコンサート以外はほとんど止めにしました。それだけ、この2つの作品をプログラムに取り上げるってことは、魅力的なことなのです。

もちろん、この2つの作品はピアノ1台による伴奏です。オケなどではありません。しかし、合唱団は海外演奏経験も豊富な気合の入った合唱団(そもそも、運営が海外公演を手がけるC-Pro)。演奏会ごとにメンバーを集めるやり方ですが、たいていこういった合唱団って、ある程度はメンバーが固定されているんですよね・・・・・

そういった内実が、元合唱屋だからこそわかるわけで、この団体は期待できる!と思い、万障繰り合わせたってわけです。

さて、演奏ですが、まずはソリスト登場で、日本の歌曲。あまり有名とは言えないソリストが出てきましたが・・・・・あれ?永井女史よりは聴きやすいじゃないか!

これ、表現としては非常に重要な点です。見事に歌詞の中に生きる魂をすくい上げることに成功しています。けれども、やはり聴き取りにくい部分はあって、そこが残念。まあ、日本語の滑舌って、本当に難しいので・・・・・とは言え、例えば私も仕事で声がけなどをしますけれど、それが歌舞伎のようになってしまうとこれまた変なのですが、歌ならそうなってしまっても極端なことを言えば問題ないわけです。

歌っているということは、演技していることと同じであり、それは自らの意志を伝えていることと一緒だ・・・・・そういう教育を日本はしないので、どこかモゴモゴしてしまう部分もあると思います。そのモゴモゴしている部分が少なかったのは、素晴らしかったと思います。

2プロから、高田三郎ワールドへ。まずは「心の四季」。レファレンスで聴いている、上記エントリでご紹介した大久保混声合唱の演奏はとても美しいものですが、今回の演奏は、その美しさに加え、力強い生命賛歌になっていたのがとてもよかった!

これは、後半であるメインの「水のいのち」にしてもそうなんですが、美しく生命力があり、力強さもある演奏なんです。さすが、海外で宗教曲などを歌っているメンバーたちだと思いますし、指揮者もそんなキャリアが見え隠れします。

それが、メインの「水のいのち」ではまさしく、生命賛歌になっているんです。もう、涙出そうでした。歌詞も歌詞カードなしでも聞き取りやすいですし、「自分たちの想いを伝えるんだ!」という魂がこちらにビンビン伝わってくるんです。その意味では、録音の高田三郎の解釈にさらに何かが加わったような気がします。

さらにその意味では、新しい時代を感じます。単に改元するからなんて単純な話ではなくて、まさに高田三郎の作品が、指揮者の演奏の囚われから解き放たれ、真に生命を宿した瞬間だと思います。作曲者の解釈は大切にしながらも、自らの視点を重視する演奏は、まさにアウフヘーベン!こういった演奏をまってました!

ただ、歌詞の聞き取りやすさという意味ではそれでも、録音の神戸中央合唱団や大久保混声合唱団のほうがさらに上なのかなって思います。これは常設ではない合唱団の性かなあって思います。その意味では、やはり作曲者の自作自演の録音はまだまだ存在意義あると思いますが、この演奏が素晴らしいのはもう一度いいますが、作曲者の囚われから作品を解き放った、という点なのです。これは多くのアマチュア合唱団に勇気を与える演奏だと思います。自分たちの視点を持っていいんだ、と。

日本って国は共依存の強い国なので、作曲者だとかオリジナルを「神」として崇める傾向があるんです。もちろん、それは大切な要素なんですが、神としてあがめなくてもいいわけで、作品と対話した上で「で、私達はこう考える」という演奏が少ないんです。このヴォイス・オブ・ジャパン合唱団の演奏はまず作品と対話した上で、自分たちの表現をしているんです。だからこそ意志が伝わってきますし、美しいだけではなくそこに生命が宿っているんです。もう、ブラヴォウをかける誘惑になんど襲われたかw

アンコールはカッチーニアヴェ・マリア。と言ってもカッチーニ本人の作曲ではなく、その名を借りた20世紀の作曲家、ウラディーミル・ヴァヴィロフの作品なんですね。じつは私は初めてで、この音楽はニノ・ロータ?ってはじめ思ったのですが、隣りにいる元合唱団の仲間が即座に「カッチーニアヴェ・マリアだ」と言ったんですね。ああ、そう言えばどこかで嘘っぽいアヴェ・マリアが存在するときいたことがあったっけ、と。歌詞はAve Mariaとしかないとても単純な作品ですが、作品としてはよくできている作品で、まるでラヴェルボレロのよう。まさしく20世紀の音楽史が凝縮した作品ですが、これをソリストと合唱団が楽しんでいること!

この合唱団の演奏の根底には、「楽しむ」ということがあるんだなあと、納得できるアンコールだったと思います。次も機会があれば、ぜひともと思う団体です。




聴いてきたコンサート
ヴォイス・オブ・ジャパン合唱団演奏会
日本の歌曲集
 さくら横ちょう(別宮貞雄作曲)
 朧月夜(岡野貞一作曲)
 宵待草(多忠亮作曲)
 くちなし(高田三郎作曲)
高田三郎作曲
混声合唱組曲「心の四季」
混声合唱組曲水のいのち
ウラディーミル・ヴァヴィロフ作曲
カッチーニアヴェ・マリア(アンコール)
望月哲也(テノール
川井敬子(ピアノ)
名島啓太指揮
ヴォイス・オブ・ジャパン合唱団

平成31(2019)年4月14日、東京新宿、新宿文化センター大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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