かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:タン・ドゥン 2000トゥデイ

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回は中国人の作曲家タン・ドゥンが作曲した2000トゥデイという作品を収録したアルバムをご紹介します。

日本では名前はしっているけど・・・・・っていう作曲家だと思います。かくいう私もその1人です。だからこそ借りてきたのです。ただ、現在の日本では外交関係のせいか、ネガティヴに捉えられる作曲家でもあるのですが、その視点は正しいのでしょうか?本当の姿とは?

ということで、借りてきたのがこのアルバムでもあったわけなのです。実は、タン・ドゥンはクラシック的な交響曲は1つしか作曲していません。まあ、20世紀に入って、交響曲は姿が変幻自在なので、広く言えばこの作品も入って2つかなって思いますが・・・・・

譚盾
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%9A%E7%9B%BE

譚盾 タン・ドゥン(1957- )
http://kukikei.sakura.ne.jp/sym-oth-tan.htm

2つ目のサイトでは、このエントリで取り上げる2000トゥデイの解説もありますので重宝します。じつは2000トゥデイという作品は、BBCのTV番組のサントラなのです。ちなみに、主題歌はボブ・マーリーが作曲しています。

2000 Today
https://en.wikipedia.org/wiki/2000_Today

この音楽家の取り合わせは、実に近代民主主義的だと思います。ボブ・マーリーといえばレゲエですし、タン・ドゥンと言えば、クラシックを基本としつつ、実に多彩な色を持つ異彩を放つ作曲家だからで、偏狭なナショナリズムの国では決して実現しない取り合わせだと思います。イギリスという国のある意味国威発揚でもありますが、それでも自国の作曲家ではなくタン・ドゥンとボブ・マーリーであるということが目を引きます。

ボブ・マーリー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC

そもそも、タン・ドゥンはクラシック音楽に新しい風を引き込んだ作曲家だと言えるでしょう。そのきっかけを作ったのが、武満徹。本来なら日本人なら誇りに思っていいことなんですが・・・・・

もっと言えば、この作品には日本のチェレプニン派の影響、端的に言えば伊福部昭の影響も見て取れます。それは民俗音楽を使っているところでオスティナートが使われている点です。それは作品に生命力を与え、単なる商業音楽であったものが普遍的なものを持つに至る一つの起点になっています。

そういう作品の前段として、番組の主題歌であるボブ・マーリーの「One Love」が1曲めに収録され、その次にタン・ドゥンの2000トゥデイが収録されており、つまり番組を追体験できるようになっているんです。それは視点を変えれば、タン・ドゥンの作品が持つメッセージが何かを、私達が考える材料にもなっています。

なにか一つの強いメッセージがあるわけではないんですが、隠然とした「なにか」が隠されている。それを聴きながら探すという、宝探しのような楽しみもある作品だと思います。けれども、この作品はクラシック的な交響曲ではありません。あくまでも、世界の文化が織りなす綾をシンフォニーと呼んで表現しているに過ぎません。その意味ではむしろ、スメタナの「わが祖国」といった連作交響詩のほうに近いと言えるでしょう。

演奏は、じつは自作自演に近いんです。指揮はタン・ドゥン自身でオケはBBCの特別編成と、NChiCaオケ。で、ボブ・マーリーがじつはボブの息子であるジギー・マーリーが参加しているんです。その上でジプシー・キングス。ハーレムのクワイアに、タン・ドゥンのではロンドン・ヴォイセズに子供のクワイア。ボブとタン・ドゥンの二人の作品だけではなく、それぞれゆかりのある演奏家が立ち並び、それぞれが存在感を放っています。特に2000トゥデイのホーミーは圧巻!

BBCオケがその中に入っているからこその演奏の安定感はあると思いますが、それよりも、民俗音楽がオケとあたりまえのように協奏し、一つになっているのは本当に驚かされます。その意味では、洋式的にはクラシック音楽の伝統からは外れているとはいえ、19世紀末から20世紀前半にかけての民謡採集運動の影響を強く受けた作品という理解が演奏者たちに共有されているのかなと思います。

我が国でも日本的なものにこだわるのであれば、もっと自国の民謡に目を向け、それをどう活かすのかを作曲活動に置いて実践していくことが大切なのではないかと思いますが・・・・・居ないんですよね、なかなか。まだまだ後期ロマン派に支配されてしまっているなあと思います。タン・ドゥンはそんなドイツロマン主義から解き放たれ、自由なように見えるのは私だけなのでしょうか。

元号は「令和」になるんですよ・・・・・




聴いている音源
ボブ・マーリー作曲
ワン・ラヴ
タン・ドゥン作曲
2000トゥデイ〜ワールド・シンフォニー・フォー・ザ・ミレニアム〜
ジプジー・キングス(ワン・ラヴ)
ジギー・マーリー(ワン・ラヴ)
ツィーディー・レロカ(ワン・ラヴ)
ボーイズ・クワイア・オブ・ハーレム(ワン・ラヴ)
ロンドン・ヴォイセズ
ニュー・ロンドン・チルドレンズ・クワイ
タン・ドゥン指揮
BBCコンサート・オーケストラ
NChiCaオーケストラ

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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