かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:バッハ オルガン作品全集9

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、バッハのオルガン作品全集を取り上げていますが、今回はその第9集です。

この第9集では、時代としてはヴァイマルライプツィヒを取り上げており、その第3集となっています。え、第1と第2、つまりは第7集と第8集はどうしたのって?

ないんですよ、図書館に・・・・・ないものは借りては来られません。自分で買うか、誰かからいただくか、いずれかしかありません。けれども、それもそう簡単ではないですから・・・・・

ですので、いきなり第9集に飛ぶってことになるんですが、この第9集は面白い編集になっており、ヴァイマルライプツィヒの時代において作曲されたオルガン作品を、教会暦で並べているんです。

教会暦は、カンタータをご紹介しているときに多少触れているかと思いますが、キリスト教の行事のことです。

教会暦
プロテスタントの教会暦
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E4%BC%9A%E6%9A%A6#%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E6%95%99%E4%BC%9A%E6%9A%A6

これらの行事のために、バッハはカンタータも書きましたが、オルガン曲も作曲しています。この第9集に収録された作品は殆どが短い作品ばかりですが、短いということはそれだけ実用性の高かった作品だとも言えるのです。

オルガンとともに、会衆がコラールを歌う・・・・・私達がカトリックの教会で賛美歌を歌うのを見かける、あの風景です。神道や仏教では歌がないのであまり実感ないかもしれませんが、神道祝詞をあげたり、仏教で聲明をあげたり読経したりするのと同じです。会衆がオルガンのコラールとともに同じコラールを歌い、神を賛美するのです。

ですからこれらの作品は短いってことなんです。それ故、決してオルガンだけが前面に来ることのないようにも配慮されている構造になっているのもまた特色です。もちろん、オルガン独奏ということもあるので圧倒的な音があったりもします。その豊富さは、私達にバッハ芸術の真の姿を見せてくれています。

イゾワールはそんな作品たちを、本当に愛情込めて演奏するんです。ffであっても、どこかにしなやかさが備わり、血が通った演奏になっています。クリスマス用などは可愛らしさもあります。押し一辺倒なんてことはなく、どこか暖かさがある演奏です。

どうも宗教というと、私達日本人はどこか私達をねじ伏せるものというイメージが有るのかもしれません。それゆえにトッカータとフーガのトッカータがよくやられるような、圧倒的な強い演奏が好まれるだと思いますが、それって、本当に真の姿なんでしょうか?それはあるオルガニストの一解釈に過ぎないのではないでしょうか?

じつは私がこの全集を借りたのには2つ理由があって、一つはバッハのオルガン作品を体系的に聴いてみたいというものと、もう一つは、トッカータとフーガにありがちな演奏だけがバッハの真の姿なんだろうかという疑念から始まっています。それを私に与えてくれたのが、鈴木雅明氏のオルガンだったのです。とはいえ、鈴木氏はさすがに全集を出してはいません。となれば他のオルガニストでってことになりますが、そこで棚で見つけたのが、このフランス人の演奏だった、というわけです。

その選択は本当に正しかったと思います。じつはこの演奏のロケーションはドイツのフランクフルトなのです。オーデルのカンターテ・ドミノ教会にあるアーレント・オルガンによって演奏されていますが、ドイツ的な重厚さはあまり見られず、むしろ芯の通った、透明かつ暖かい演奏がそこにはあります。フランス人イゾワールならではの、繊細かつ力強い演奏が、作品が持つ魂を呼び起こしているように思います。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
降臨節
�@「いざ来ませ、異邦人の救い主」BWV599
�A「神の御子は降りたまえり(神よ、汝の慈しみによりて)」BWV600
�B「主キリスト、神のひとり子」BWV601
�C「全能の神に讃美あれ」BWV602
クリスマス用
�D「みどり児ベツレヘムに生まれたまいぬ」BWV603
�E「讃美を受けたまえ、汝イエス・キリストよ」BWV604
�F「かくも喜びに満てるこの日」BWV605
�G「高き天より、われは来たれり」BWV606
�H「天より御使いの軍勢来たり」BWV607
�I「甘き喜びに包まれ」BWV608
�J「神を讃えまつれ、汝らキリストの徒よ、こぞりて」BWV609
�K「イエスよ、わが喜び」BWV610
�L「キリストをわれらさやけく頌め讃うべし」BWV611
�M「われらキリストの徒」BWV612(註:CD記載には「新年用」とあるが、「バッハ事典」の記載により書き写し者により訂正)
新年用
�N「われとともに神の慈しみを讃えよ」BWV613
�O「古き年は過ぎ去りぬ」BWV614
�P「汝にこそ喜びあり」BWV615
マリアの潔めの祝日用
�Q「平安と歓喜もて われはいく」BWV616
�R「主なる神よ、いざ天の扉を開きたまえ」BWV617
受難節用
�S「おお、神の小羊、罪なくして」BWV618
㉑「キリスト、汝 神の小羊」BWV619
㉒「われらに救いを賜うキリストは」BWV620
㉓「イエス十字架につけられたまいし時」BWV621
㉔「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622
㉕「主イエス・キリストよ、われら汝に感謝す」BWV623
㉖「神よ、われを助けて成させたまえ」BWV624
復活祭用
㉗「キリストは死の縄目につながれたり」BWV625
㉘「われらの救い主なるイエス・キリストは」BWV626
㉙「キリストは甦りたまえり」BWV627
㉚「聖なるキリストは甦りたまえり」BWV628
㉛「栄光の日は現われたり」BWV629
㉜「今日、神の子は勝利の凱旋をなしたもう」BWV630
聖霊降臨節
㉝「来ませ、造り主なる聖霊の神よ」BWV631
㉞「主イエス・キリストよ、われらを顧みて」BWV632
㉟「いと尊きイエスよ、われらはここに集いて」BWV633&BWV634
㊱「これぞ聖なる十戒」BWV635
㊲「天にましますわれらの父よ」BWV636
㊳「アダムの堕落によりて、ことごとく腐れたり」BWV637
㊴「われらに救いの来れるは」BWV638
㊵「われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ」BWV639
㊶「われは汝に依り頼む、主よ」BWV640
㊷「われら悩みの極みにありて」BWV641
㊸「尊き御神の統べしらすままにまつろい」BWV642
㊹「人みな死すべきさだめ」BWV643
㊺「ああいかにむなしき、いかにはかなき」BWV644
アンドレ・イゾワール(オルガン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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