かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:マリー=クレール・アランのバッハ・オルガン作品全集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズでマリー=クレール・アランが弾くバッハのオルガン作品全集をご紹介していますが、今回はその第2集です。

この第2集でも、アランのスタイルは、荘重さと可憐さを使い分けるというものです。みじんもゆるがず、自らのスタイルを貫き通しています。

収録されている作品たちは、「実り多き創作期」の1としてカテゴライズされていますが、コラールでは可憐さが際立ち、それ以外では荘重さと壮麗さ、そして重厚さが際立つという、これも第1集とおなじスタイル。

ということは、完全にそれがオルガン作品を弾く時の「イロハのイ」となっているということになります。そのうえでどのように自分を出していくかが重要だと思いますが、このアランの演奏を聴けば聞くほど、ある意味リヒターの演奏とはあまりにも個性的で判断が分かれるものなのである、ということを理解せざるをえません。けれども私はリヒターがダメというのではなく、リヒターの演奏でキリスト教音楽を否定することを否と言いたいのです。

聴けば、アランのその基本スタイルでも、作品からその心音が聞こえてくるかのようなのです。全く圧迫感などなく、むしろ爽快さすら演奏からは感じますし、人間の温かみもそこには存在します。リヒターの功罪ここにありと言わざるをえません(けれどもリヒターファンのためにフォローしますが、世俗曲ではリヒターはとても味わいのある演奏をしています)。

こういうとき、私は合唱をやっていてよかったと思う瞬間なのです。もっと言えば、アマチュアながらも演奏家であってよかった、と。なぜならアランのこの演奏を選択するためには、アマチュア合唱団時代にともに鍋を突っついた、宮前フィルハーモニー合唱団「飛翔」の仲間(ご近所だったさいか屋の会長さんも含め!)たちとその指揮者守谷弘氏の存在抜きにはないからです。ドイツ音楽で少し毛色の変わった優れた作品を聴きたいなら、ドイツ以外の演奏家、特にフランスのものを聴いたほうがいいというアドヴァイス。これが今でも私の演奏選択に大きく影響を与えていますし、判断材料になっています。

その交流から至ったのが、イゾワール、そして今回取り上げているアランの演奏なのです。一見すればドイツ人じゃないの?って思ってしまいますよね。けれどもその交流以降は、あまりドイツ人の演奏にこだわらなくなっています。一方、フランスの作曲家の作品をドイツ人の演奏で聴くというのもアリで、実際にその視点で選んでもいますが、その例が少ないのが実情です。

ところが、オルガンはフランスありドイツありとユニーク。この第2集ではドイツです。そんな演奏様式以外はこだわりがない彼女の「これっきりというのはない」というスタイルそのものを示すような選択がまた演奏に深みを与えているように思います。むしろそのこだわりのないという「こだわり」こそ、彼女の演奏の真理なのだと実感します。




聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
トッカータとフーガ ニ短調BWV538(「ドリア調」)
「おお、神の小羊、罪なくして」BWV618
「キリスト、汝 神の小羊」BWV619
「われらに救いを賜うキリストは」BWV620
「イエス十字架につけられたまいし時」BWV621
「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」BWV622
「主イエス・キリストよ、われら汝に感謝す」BWV623
「神よ、われを助けて成させたまえ」BWV624
プレリュードとフーガ ト短調BWV535
「キリストは死の縄目につながれたり」BWV625
「われらの救い主たるイエス・キリストは」BWV626
「キリストは甦りたまえり」BWV627
「聖なるキリストは甦りたまえり」BWV628
「栄光の日は現れたり」BWV629
「今日、神の子は勝利の凱旋をなしたもう」BWV630
トッカータとフーガ ハ長調BWV566
「来ませ、造り主なる聖霊の神よ」BWV631
「主イエス・キリストよ、われらを顧みて」BWV632
マリー=クレール・アラン(オルガン)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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