かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ブラームス 鍵盤楽器全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から10回に渡りまして、ブラームス鍵盤楽器全集を取り上げます。もともとはブラームス全集としてまとめられているものです。

つまり、以前ご紹介した合唱曲のと同じなんです。こういう点は神奈川県立図書館は充実しています(その代わり、実は他の全集はあまりなかったりしますけど)。

さて、第1集はピアノ・ソナタ第1番と第2番です。第1番は栄えある作品1で、第2番が作品2となっていますけれど、実は最初のピアノ・ソナタは第2番です。

ピアノソナタ第1番 (ブラームス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)

ピアノソナタ第2番 (ブラームス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)

書法的にはベートーヴェンの影響がみられるものの、聴けばいや、ブラームスだよって和声が拡がっています。これ、ブラームスの優れた才能だと思います。勿論そこに至るまで試行錯誤して、幾つか作品を破棄もしているようですが、それでも初めからブラームスの個性が花開いているのは素晴らしいです。シューマンが「新しい道」と題してブラームスを絶賛したのは当然だなあって思います。

ついブラームスと言うと、日本人の多くは交響曲ヒエラルヒーのトップに置いて、室内楽や器楽曲は下に見る傾向があって、特に室内楽や器楽が好きな人たちはこっそり聞いているという場合も多いのですが、そもそも交響曲を芸術の高みへと登らせたベートーヴェンもピアニストです。ブラームスも同じであるという視点がどこかで抜け落ちてしまっているんですよね。交響詩という新しいジャンルを管弦楽で作りあげたリストもピアニストです。カンタータや受難曲で壮大な世界を現出させたバッハもオルガニストであり、チェンバロ奏者でした。後期ロマン派なら熱狂的な交響曲のファンが日本に多いブルックナーも、教会オルガニストからキャリアが始まっています。

そういったことを理解していれば、そんなヒエラルヒーを考えることは稀なのではないかって思います。確かにアンサンブルのトップに交響曲が君臨するのは確かですが、だからと言って交響曲がすべてに置いて最上なのかと言えば、そうではないのではないでしょうか。

ブラームスはこの二つの作品に置いて、ピアノ一つでも素晴らしい宇宙を表現できることを如実に表しています。特に第1番第1楽章の速いパッセージは、ピアノという楽器が如何に優れているかを証明するものだと言えるでしょう。もしかするとそれだけの意味をブラームスが込めて居たりするかもしれません。

演奏するは、ウゴルスキ。元の音源がドイツ・グラモフォンであるゆえか、ウゴルスキがトップバッターです。その変幻自在な表現力は素晴らしく、ドイツ音楽であるのに色が見えるんです!ブラームスの音楽で色が見えたのは恐らく私は初めてです。ブラームスの音楽と言えば精神性だとか言われますけれど、それは一面しか見ていないと思います。そもそもブラームスにも色彩感があるのに、それを引き出していない演奏なのであると言うほうがいいのかもしれません。ウゴルスキの演奏はそれだけ伸びやかで、すがすがしくもあります。青年ブラームスが発揮した才能を思う存分自己のものとして表現しているのは、何ともあっぱれです。




聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
ピアノ・ソナタ第1番ハ長調作品1
ピアノ・ソナタ第2番嬰ヘ短調作品2
アナトール・ウゴルスキ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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