2枚組で収まってしまうほど、少ない数ですが、しかしクラリネットの持つ「暖か味」を自由自在に操った作品を、ソリストがどう「料理」するのかが、ブラームスのクラリネットのための室内楽の特色だと言えます。
この第2集ではソナタで、二つのソナタはどちらも美しく暖かく、私たちを包み込んでくれます。それは一方で、厳しさや寂しさも存分に表現され、半ば協奏曲の様相を呈していたクラリネット五重奏曲とは様を異にしています。
だからといって、つまらないと考えるのは早計で、むしろ二つの楽器は二人の人間のようであり、その様子をどのように表現するかで、また多少様子が異なることもある作品だと言えるでしょう。
クラリネットソナタ (ブラームス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)
管楽器のソナタは特段珍しいものではないですが、それにしてもブラームスのは、精神性とは言われる物とは多少様を異にしているだけに、何時聴いても飽きず、私を包み込んでくれる作品たちです。
特にブラームスはクラリネットの使い方が絶妙で、まるで人間そのものなんですよねー。私には、二つのソナタはどちらも、ブラームスが人間の「気持ち」や「意思」というものを込めた作品のように思います。
演奏するライスターは第1集では寂しさをしっかりと表現しつつ、その寂しさの曠野にぽつんと存在する「人間の暖かさ」を表現しているように思いましたが、この第2集では人間の暖かさは当然として、人間の喜びがしっかり備わっているように思います。ピアノののボーグナーもそれに寄り添うかのように美しく、ブラームスが人間関係において夢見ていたものもそこにはあるんじゃないと提案してくれています。成程、そういう部分もあるかもですね〜。
ソナタはそもそも二つの楽器の関係性を楽しむものでありますから、そこには自然と人と人との関係性が反映されるのではないかと思います。その意味で、この演奏は特にすばらしいものです。
聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
クラリネット・ソナタ第1番ヘ短調作品120-1
クラリネット・ソナタ第2番変ホ長調作品120-2
カール・ライスター(クラリネット)
フェレンツ・ボークナー(ピアノ)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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