かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ブラームス 鍵盤楽器作品全集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、ブラームス鍵盤楽器作品全集の第2集を取り上げます。この第2集では主にピアノ・ソナタ第3番が取り上げられているのですが・・・・・

私は聴いて、以下のウィキの説明はしっくりきませんでした。むしろ、ピティナのほうがしっくりきたのです。

ピアノソナタ第3番 (ブラームス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%82%BF%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9)

ブラームス :ピアノ・ソナタ 第3番 Op.5 ヘ短調
Brahms, Johannes:Sonate für Klavier Nr.3 f-moll Op.5
https://enc.piano.or.jp/musics/216

さすが、ピアノ専門のピティナだなあって思います。若書きなのはその通りだと思うんですが、でも、ウゴルスキの演奏を聴いていると、どこか作品そのものに何かへのリスペクトを感じるんです。

特に、ウィキ、ピティナどちらも触れていないんですが、第4楽章はまるでベートーヴェンの「運命」なんです。でも、ベートーヴェンの模倣でもないんです。第1楽章はまだ模倣って感じもしますが、段々そうではなくなってきて、メンデルスゾーンも出て来るわ、一体これは何だ?って感じです。

けれども、シューマンに確認で送っているくらいですから、それも何か意味があるはずなのです。私はこう推理します。これはブラームスの、先人たちへのオマージュなのである、と。

ピティナがその材料を提供しています。このピアノ・ソナタは5楽章あり、第3楽章を中心としてシンメトリーになっている、というものです。これ、どこかで見たと思いませんか?そう、バッハの鏡像カンタータです。

ここでブラームスは、偉大な鍵盤楽器の先達たちを、詩人のイメージを借りて讃美していると考えれば、このソナタの様式がぐっと共感できるなあって思います。楽章形式でバッハを、旋律でベートーヴェンを、引用でメンデルスゾーンを、それぞれ讃美していると考えると、私にはこのピアノ・ソナタ第3番がとてもいとおしく思えてきます。

だからこそ、ウゴルスキブラームスのバッハ編曲を取り上げてもいます。何の関係もなくカップリングするってことはあまり考えられないんです。関係あるからこそカップリングするわけで・・・・・ブラームスがどんな作曲家達をリスペクトしていたのかが、明確なのではないでしょうか。

その二つを弾くウゴルスキは、本当に生き生きとしています。ピアノ・ソナタでは情熱的ですし、左手のためのシャコンヌ ニ短調J.S.バッハのパルティ―タBWV1004の編曲)では、編曲と言いながらもブラームスの個性が出ている点をしっとりと弾いていきます。

そして、最後のスケルツォ 変ホ長調は、演奏が変ってケンプ。ブラームスの内省的な作品を存分に気持ちを込めて弾いているのもまたいいですね。こういった小品を弾くときに手を抜くのか抜かないのかが巨匠と言われるかそうではないのかの分水嶺ではないかって思います。ケンプはいささかも手を抜かず、真剣勝負。だからこそ作品が持つエネルギーが伝わってきます。

ブラームスは終生独身だった人で、それゆえに魂のレヴェルが高い人です。その魂のレヴェルの高さが、ケンプによってピアノにより叩きつけられている・・・・・そんなブラームスの情熱が、ケンプの演奏をして乗り移っている気すらします。ブラームスという作曲家の真の姿に迫る音源だと思います。




聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
ピアノ・ソナタ第3番ヘ短調作品5
左手のためのシャコンヌ ニ短調J.S.バッハのパルティ―タBWV1004の編曲)
スケルツォ 変ホ長調作品4
アナトール・ウゴルスキ(ピアノ、第3番、左手のための)
ヴィルヘルム・ケンプ(ピアノ、スケルツォ変ホ長調

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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