神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はBISから出ている、バッハのロ短調ミサのアルバムです。ロ短調ミサなので2枚組ですが、今回は一つにまとめてエントリを立てます。
さて、バッハのロ短調ミサに関しては、じつはすでにソリストがいないヴァージョンと、いるヴァージョンをそれぞれご紹介しています。
マイ・コレクション:ソリストがいないロ短調ミサ
https://yaplog.jp/yk6974/archive/724
コンサート雑感:中央大学音楽研究会混声合唱部第48回定期演奏会を聴いて
https://yaplog.jp/yk6974/archive/771
一つ目のエントリがソリストがいないヴァージョン、二つ目の中大混声のがソリストがいるヴァージョン。そして今回が、ソリストがいる、BCJとなります。これでCDではいるヴァージョンといないヴァージョンの二つが、一つはディスクとして、一つは音楽ファイルとして揃ったと言うことになります。
そして、3つに共通するのは、ロケーションが教会だということです。BCJなら当然なのですが、ロケーションは神戸松蔭女子学院大学チャペル。ヘンゲルブロック指揮フライブルク・バロック・オーケストラがエヴァンゲリスト教会、そして中大混声が東京カテドラル聖マリア大聖堂です。当然、教会なので残響はホールよりも長い、のです。
BCJはなれたものです。そんな残響時間などいつものことさと、存分に響かせながらも、カンタービレしているのは素晴らしいのですが、カンタービレという点では実は、ヘンゲルブロック指揮フライブルク・バロック・オケのほうが優れていると感じます。その次点とも言うべき素晴らしい演奏が、このBCJだと言えるでしょう。
ただ、BCJのこの演奏は、カンタービレはしているので生命力にあふれているという点で、いいなと思います。ヘンゲルブロックが指揮したものよりも個々人は指揮者に従いますが、実は形としてはバルタザール=ノイマン合唱団に近いのがBCJだと言えるでしょう。なぜなら、ソリストも歌わないときは合唱団の一員として歌っているから、です。それがバロック時代の当たり前でした。
ですから、演奏としては比較的ヘンゲルブロックのものに近いと言えるかと思いますが、中大混声の、故白石先生の指揮の下、統一感の中で学生一人一人が喜びを持って歌うというのも実に素晴らしいものだったことを思い起こしますと、このBCJのはそれにも近いと言えます。モダン的な演奏の中にバロック的なものが混在し、その二つの特色がアウフヘーベンした演奏だと言えるでしょう。
スコアの読み込みと史料批判に長けている鈴木氏のタクトは冴え、透明感の中に情熱がこもり、「情熱と冷静の間」のバランスが抜群!そのバランスが私にいろんなメッセージを語りかけてきます。自分を超えた大きなものを信じる事、でも自分自身に誠実に生きる事、それをキリスト教という宗教を題材にして語りかけてきます。自分自身は如何に生きるのか。今は喜びをもって生きているか、などなど、語り尽くせません。
そのメッセージから、またわたし自身も考えるのですが、BCJの演奏はその材料にもしっかり富んでいます。自分を顧みながらも、聴きながら喜びを感じる・・・・・そんな幸せな時間を、聴いている間は味わうことができるのは、さすがはBCJだと言えるでしょう。
聴いている音源
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ミサ曲ロ短調BWV232
キャロリン・サンプソン(ソプラノ�T)
レイチェル・ニコルズ(ソプラノ�U)
ロビン・ブレイズ(アルト)
ゲルト・テュルク(テノール)
ペーター・コーイ(バス)
島田俊雄(トランペット)
オリヴィエ・ダルぺレイ(コルノ・ダ・カッチャ)
菅きよみ(フラウト・トラヴェルソ)
三宮正満(オーボエ・ダモーレ)
若松夏美(ヴァイオリン)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
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